父と同じ名前の“その人”は、デビュー当時から気になる存在でした。

ラジオから流れる歌声に惹かれつつも、ひと際異彩を放つその風貌に躊躇していたとき

絶妙のタイミングで知人がレコーディングに参加したことを知り、

それが“その人”の音楽を聴き始めるきっかけになりました。
 
 
繊細で骨太な歌声、シンプルだけど心に刺さる楽曲に心を掴まれ

「歌が聴ければそれでいい」と当日券で入った新宿のライブハウス。

長身の“その人”がはにかみながらあらわれ、ギターを持った瞬間、

後ろにいたはずが思わず前へ駆け寄っていったことをよく覚えています。
 
 
“その人”は独特の話し方と間でファンを和ませながら、東京ビッグサイトで

ライブが決まったことを話し、「友だち3人連れてきてね。そうしたら、満員になるから」

なんて茶目っ気たっぷりに話してたっけ。

初ライブで、歌だけでなくギターをかき鳴らす姿とその人柄に完全にはまってしまいました。

そんな“その人”斉藤和義さんとの出会いから約20年。

その知人がいなければ、私は和義さんのファンになっていなかったかもしれない。

そう思うと、この偶然に感謝せずにはいられません。

(ミュージシャンである知人のことは、またあらためてご紹介できればと思います。)
 
 
はじめまして。

このたびYUMECO RECORDSさんの連載陣に仲間入りさせていただくことになりました

京都市在住の shino と申します。

主に校正の仕事をしています。

「校正ってなぁに?」ってよく聞かれるのですが

昨年放送されたドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』で

石原さとみちゃんがやっていたような、

原稿と見比べて印刷物の誤りや不備を正したり事実確認をしたりすること。

時には、原稿を照らし合わせる作業に明け暮れて睡魔とたたかっていますが

ひっそりと潜んでいる誤字・脱字を見つけたときは、目の色が変わります(笑)。

大きな声では言えないけれど、内心嬉しくてそれが校正の醍醐味なのかもしれません。
 
 
昨年2月に、斉藤和義さんのライブレポートを掲載していただいて約1年。

1ファンとしていつも拝見させていただいていた憧れの場所に

まさかこうして登場させていただくことになるとは夢にも思っていませんでした。

上野さんから正式にご連絡をいただいた朝、あまりの嬉しさに浮き足立って

化粧ポーチを無意識のうちにゴミ箱に放り込んでいたといえば

どれほど舞い上がっていたかがわかっていただけるでしょうか。

好きなものはたくさんあって、馬・競馬(馬券というよりもロマンの方)、お笑い、カフェ巡り。

落ち着いてみえると言われるけれど、実は毎日失敗の連続。

ライブ会場を間違えたりチケットを忘れたり、

スマホがない! と探し回っては冷蔵庫から出てきたり。

最大の失敗は、大勢の人が詰めかけた競馬帰りの電車で、

イス取りゲーム状態になり見ず知らずの男性の膝のうえに座ってしまったこと!

想像してみてください。

座ったと思ったら、「えっ!? 私こんなに座高長かったっけ?」

いつもとは違う、明らかに高い目線にシートとは違う何とも言えない感触(笑)。

隣に座った友だちの驚いた顔が忘れられません。

友だちが素早くずれてくれたおかげで隙間に滑り込み、

一応謝ったのですがその男性は一度も目を合わせてくれませんでした。

今でもその光景を思い出すと笑ってしまいます。
 
 
さて、今回は、3月28日に渋谷の乙(KINOTO)で行われた『ROLL WITH IT』というイベントで

トリを務めたRainbow Slidersをご紹介します。

主に越谷(埼玉)を拠点に活動中で、メンバーそれぞれが他でもライブやサポート活動を行って

いる、知る人ぞ知る名実ともに兼ね備えたバンド。
 
 
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市塚裕子さん(Org.)の奏でる軽快で華やかな音色がフロアをふわりと空中へ誘う。

和田賢介さん(Vo.&G.)の人柄が溢れる中毒性のある歌声と

フロントマンにふさわしいエンターテイナー性は秀逸。

この人のなかにはきっと無数の引き出しが存在しているのだろうと思う、

果敢に攻め続ける真壁陽平さん(G.)の多彩で豊かなギター。

もともとはドラマーだったという一見物静かにみえる安藤一宏さん(B.)の熱い低音。

寡黙に弦をつま弾く横顔がステキ。

そして、佐藤大輔さん(Dr.)がにこやかに、時には獲物を狙っているかのような精悍な目つきで

みんなのプレイを見ながらドラムを刻む。

狭いステージ上でぶつからないようにそっとお互いが気を配りあったり、

CUTEでパワフルな市塚さんのソロパートで盛り上がり、その姿をカメラにおさめたり。

何が起こるかわからないワクワク感と、どこか円熟味を感じるRainbow Slidersのステージは

いつもとても楽しくて優しい。

かっこいいけれど、すべてをまるっと包みこんでくれるような安心感。

30分にも満たないそのステージにもっともっと聴いていたいと思う、

関西でのライブの実現を願ってやまない大好きなバンドです。
 
 

 
 
4月からオンエアされている石原さとみちゃん出演のCMに

和義さんの新曲『はるかぜ』が流れています。
 
 
 
悲しいことが君から消えますように
 
素敵なことが君に起きますように
 
 
 
優しいその歌声に癒やされながら、

50歳を迎えてさらにかっこよさを増して、

今なおしなやかに進化しつづける和義さんを想います。

2月に『遺伝』を発表したばかりなのに、いつの間にこんな素敵な曲が出来たんだろう。

常にゆるりと攻め続けている姿は眩しくて尊敬です。

以前、和義さん自らが語っていた通り“熱い人”なのかもしれないな。

今や好きの気持ちがひと回りもふた回りもして、

熟年夫婦のような域に達しているような気もしますが(笑)

これから1年間、斉藤和義さんの話題やライブレポート、

京都や関西のイベント、また先日開幕した競馬のG1レースの話など…

(現地観戦した大阪杯のキタサンブラックの強さには痺れました!)

自分でも何が飛び出すかまったくわかりませんが

きらめきのカケラをお届けできればと思っています。
 
 
斉藤和義さんを通して、出会えた人やものたち。

ふいにそれらがすべてつながっていると感じることがあります。

偶然の出会いのはずが、実はこのための出会いだったんだなと。

あとからまるで種明かしのように、パタパタとトビラが開いていく瞬間

心が震えるのです。

偶然は必然。そんなことをしみじみ感じています。
 
 
1年間、お付き合いいただけたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
 


 
shinomuramotoshino muramoto●京都市在住。雑誌編集・放送局広報を経て、現在は校正士、時々物書き。ふたご座、O型、究極の方向オンチ。先日も待ち合わせ場所がわからず軽く迷子になるという失態(笑)。迎えに来てもらったときの安堵感ときたら。いつも私を支えてくれる友だちに感謝。「人生は、他者だ。」(『永い言い訳』)という言葉を噛みしめる2017です。そして、にぎやかな1年になりそうな予感。