連載◆藤本浩史（the coopeez）「ユメ子の冒険記 feat.ゲンちゃん」最終回「初日の出」

 
連載をやらせて頂いてから、一年が経ちました。
今回で僕の連載は最終回になります。
 
もう一年経ったのかと、あっという間の様でもあり、何かを続ける事の大変さを改めて感じた一年でもありました。
 
年齢によるものなのか、時代によるものなのか、定かではありませんが、年々と歳を取るスピードが加速している気がします。
10代の頃は、何の根拠も無く早く二十歳になりたいと思ってましたが、念願の二十歳を超えた瞬間、歳を取りたくないと真逆の事を考える様になりました。
更に三十路を超えた時、そのスピードは更に加速して行きました。つい先日まで30歳になったばかりのような気持ちだったのに、もう半分を超えてしまいました。
 
確実に衰え、死に近づいています。
まったく死ぬなんて考えもせず生きていましたが、まさか自分がこんな歳になるとも思っていませんでした。
 
そんな時、改めて命の燃やし方を問われている様でした。
 
もともと僕は、楽しみを後に取っておく人間でした。
ショートケーキの苺は、もちろん最後に食べていました。
でも段々と、やれる事をやれる内に、出し惜しみなく人は生きるべきだと思う様になりました。
今の世の中の出来事一つ一つも、まるでそれを物語っているかの様です。
この芽生えた気持ちがいつか伝わればいいかな、ではなく、芽生えたのならすぐにでも伝えるべきだと、強く思う様になっていました。
ふと気付いた時には、ショートケーキの苺を始めに食べる人間になってました。
 
そして、もっと素直に生きていくべきだと思いました。
背伸びする事もなく、出来るだけ嘘も減らして、どれだけ自然な自分でどっしりといられるか。
それは時に傷ついたり傷つけたりする事もあります、きっと。
それでも、自分の気持ちに素直に、口と体が矛盾しないように、出来るなら生きたいと思っています。
 
嘘が多めのまま生きるより、本当が多めのまま生きたい。
どちらにしても迎えるのは同じ死なのだから。
 
そんな状態で繋がったものや人と何かを積み重ねていければと思います。
素直な感情をメンバーと共に音楽に落とし込んで12年。
今回の連載のお話を頂いたのも、まさにその一つと言えます。
 
最後の更新が1月。お正月。
初日の出です。
 
ありがとうございました。