9月1日 映画『AMY』を観に行く。27歳でこの世を去った歌姫、エイミー・ワインハウスのドキュメント。彼女がグラミー賞を受賞した時の大きな光に包まれていた瞬間と、どんどん色濃くなっていく人生の深い闇の凄まじいコントラスト。彼女がドラッグに手を染めた理由、色々あったと思うけど、その中に「（ドラッグをやっている）大好きな彼と同じことを感じていたいから」という想いがあって、とても切なかった。「私はただ、歌いたい」、そう思い続けてきた彼女が、どんどん歌えなくなっていく姿に心が傷んだ。
9月2日 映画『シング・ストリート 未来へのうた』。初めて行ったな、吉祥寺オデオンという映画館。青春っていいよね、バンドっていいよね、という甘酸っぱさが全面的に漂っていて、『はじまりのうた』や『Once ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督らしい素敵な映画だったけど、生きていくって、ましてや音楽で生きていくって、そんな甘いもんじゃないよね、という感想。前日に『AMY』を観ていたせいもあるだろうけど。
9月3日 YUMECO RECORDSで連載をしてくださっているイシハラマイさんや栗原ゆうさん、写真家の田口沙織さん、スタッフのさわこちゃんなどなど大人数で焼肉会。若手の音楽ライター、峯岸理恵さんにも来ていただいたけど予想通り面白くて可愛い方だった。肉の写真を必死にスマホで撮影して「この写真を見ながら白飯食べます！」って（笑）。おしゃれな雰囲気の焼肉屋さんだったのだけれど、コースを頼んだら、最後の締めにカレーが出てきてみんなでびっくりした。
9月5日 チワワである愛犬ニーナの胸のあたりが脱毛しているのを発見して（ハゲちゃってるんです）、自転車に乗せて動物病院に連れていく。皮膚に虫がいるとかそういうわけではないということが検査でわかって、どうやらかゆくて前足とかでガリガリしているうちに（そういえばやってるのをよく見ます）ハゲたのでしょう、と。薬とシャンプーをもらった。
9月6日 映画『君の名は。』を観に行くも、残り30分のところで電話がかかってくる。スマホに娘の保育園の名前が表示されているのを見て、「やっぱダメだったかー」という思いで、ひっそりと映画館を出る。朝方、いつもより少しだけ体温が高かったのだけれど、やはり。先生から「お熱が出ています」と言われ「すぐに迎えに行きます！」と言いつつ。いま『君の名は。』がもうちょっとで終わるところなんです、片割れ時なんです！しかもその後、『シン・ゴジラ』もクレジット支払いでチケット買っちゃってるんですけど！IMAXなんですけど〜〜〜〜〜！と、心では叫んでいました。いくら無駄にしたって、娘の体調が第一です。
9月10日 絶景クジラ取材。とてもカッコいいガールズ・バンド。オルタナティヴなサウンドで女性が歌うと、すごくセクシーな魅力が出る。nozoというギタリストのプレイもめちゃくちゃカッコいい。だけど実際に会うと、４人はとても可愛い。あどけない感じさえする。
ちょっと前のMVだけど初めての方はあえてこの曲から聴いてみてはいかがでしょう。
9月14日 数年ぶりに音大生の取材。器楽科の子たちではなく、いわゆる裏方の、ステージプロデュースやマネージメントを学ぶ子たち。本当に色んなきっかけや夢があって、みんなでひとつのことを成し遂げようとしている姿……夏休み明けの活気に満ちた校舎にいるだけでとても良いエネルギーを全身で浴びた。取材が始まる前、ふと受付に置いてあった大学のパンフレットを手に取る。授業料、年間200万。4年間通わせたら800万。私は昔、短大に入学して３ヶ月でやめてしまったけど、どれだけのお金を親に無駄にさせてしまったのだろうか。あの当時は周りの人の痛みを感じることが出来ない人間だった。まさに親の心、子知らず。うちの娘はまだ2歳だから先のことだけれど、800万、どうすんだよ。
9月15日 この日も娘の体調が微妙なので休ませる。機嫌は悪くないからベッドに横になるでもなくおもちゃで遊び続けている。別にいいんだけど、仕事は一切出来ない。
9月16日 ようやく娘を保育園に預けて、疲れていたので気を取り直してネイルでも行こうと新宿へ。またしても保育園から電話がかかってきて娘を迎えに行く。そのまま三連休に突入。
9月21日 映画『君の名は。』リベンジ鑑賞。
9月22日 秋分の日。仕事で朝方帰宅した旦那とバトンタッチして、上白石萌音さんの取材へ。色んな可能性を持っている彼女の話を聞きながら、私までワクワクした。歌うことの喜びを本能で知っている人、という感じがする。
9月24日 幼稚園の運動会。娘をおんぶして玉入れなど。この幼稚園は来年、入園させたいと思っている第一希望の幼稚園。普通は、幼稚園の運動会のプログラムの中に未就園児たちによる競技もありますので是非参加してくださいね、というパターンが多いのだけれど、この幼稚園は未就園児だけが参加する運動会の日を設けてわざわざ開催するのだ。先生方も総出で、その気合いが凄い。
9月25日 友達親子と近くの公園でピクニック。地面に生えているキノコを観察したり、どんぐりを拾ったりする。外でご飯を食べたりするには、とてもいい季節になった。
9月27日 ピアニストであり作・編曲家の国府弘子さんの取材。おそらく８年ぶりくらいだったけど、相変わらずとても気さくで優しい方で楽しいお話を訊かせていただいた。クラシックを学び、NYで本場のジャズを体に叩き込んだ彼女は、相手の音を聴いて、自分の音で応えるというコミュニケーションを知っている。だからこそ、インタヴューでのやり取りも、面白いものになるんだと思う。その後は、K-POPアーティストのノ・ミヌさんの取材。通訳さんがいると聞いていたのだけど、彼が全て上手な日本語で話してくれた。俳優もやるし曲も作るしドラムもギターも演奏するし超イケメンだし多彩な方です。
9月28日 SEMITSU& THE SUEMISHさんの取材。アルバムがとても良いです。今月は最後の5日間で原稿締め切り６本、取材３本。ちょっと詰め込みすぎだったけど何とかやりきった。ピアノ欲をそそられることの多い９月でした。またいつか習いたいなあ。
上野三樹●YUMECO RECORDS主宰 / 音楽ライター / 福岡県出身。
