連載◆藤田竜史「夢力（ムヂカラ）」第3回「真心と夢 〜ビデオカメラマン・鼻和俊編〜」

 
こんにちは、藤田竜史です。
YUMECO RECORDS連載【夢力】と書いて“ムヂカラ”、第3回目の投稿です。
もう一度、夢の力やエネルギーを信じるべき時代になりました。
何か一つのことを“こうでありたい”と信じる力。
うつくしいものを“うつくしい”と追い求め続けるエネルギー。
それは感動を生み出すコア。つまりは価値の始まり。
どんなにちいさな灯りでも、そこに価値を与えるアイデアと愛情。
そんな共振する【夢力】を持った人たちに焦点を当ててお届けするヒューマンストーリーコラム。
第3回目に織り成す“夢力人（ムヂカラビト）”は、僕たちの地元・柏で非常にインディペンデントな記録活動を繰り広げているムービーカメラマン鼻和俊くん。
映像という記録芸術から街へと夢を投下する彼の静かな瞳に迫ります。
 
 
黒縁めがねにパーマの当たった髪の毛。
ハナワくん、というとても珍しい名字。
とても優しく穏やかで草食動物のような彼は突如ぼくの前に現れ、共に音楽や映像を通して街へと“残る”何かを作り出すことをはじめました。
ちょうどタイミング良く「柏MUSIC SUN」、そうわたくし藤田が実行委員長を務める地元主催のサーキットフェス立ち上げ時期だったので、
ぼくとハナワ君は一緒に企画し、この映像作品をつくりました。
当時、アメリカのルミナーズというバンドが行っていたビッグパレードという動画にインスパイアされ、フェスティバルを盛り上げるために街の特色や雰囲気をお伝えしつつ、音楽の祭典というアピールを行えるムービーが撮れないだろうかと着想。
 
 
　 The Lumineers | Ho Hey and Big Parade | A Take Away Show |

 
 
 
彼にこれを吸収してもらい出来た作品がこちら。
 
 
 
　 「柏ミュージックサン・パレード2014」

 
 
 
フェスティバル当日にもたくさんのいい瞬間はありましたが、個人的にはこのパレードを行っていた瞬間が最も記憶や心に残る時間だったように感じます。
それはぼくたちが街を愛しながら、これからもこの街で何かを創り、生み出し根付いていくものを育てていく…。
そんな理想形の記念すべき第一歩だったように感じたからです。
 
 
 

 
 
 
Q.幼い頃、一番最初に描いた夢はなんですか？ またそのきっかけはなんですか？
A.子供の頃は直面する現実に対応するのにいっぱいいっぱいで、「良い子」を演じるのに疲れていて夢を描くということはなかったです。幼稚園や小学生の頃に「将来の夢は何？」と聞かれた時はいつも「公務員」と答えていました。そう言えば親が喜ぶと勝手に思っていたんでしょう。今の方が夢見てます。夢見がちな30歳♂です。
 
 
この荒川ケンタウロスというバンドに密着した動画もハナワ君が手掛けたもの。
彼がMUSIC SUNやぼくを通して独自に築きあげてきた人間関係の中で生まれたドキュメンタリー作品。夢見る30歳と自称する彼だけど、
 
“誰かのちいさな夢が実現する瞬間”
 
それを他の誰よりも純粋かつまっすぐに捉え、自らの夢の一部として真摯に映像に落とし込むことができるのは彼ならではのヒューマンムービー。
 
 
 
　 荒川ケンタウロス「Short Documentary -20141117 at 下北沢BASEMENTBAR-」

 
 
 
同じ年で、とても近くの地域で青春時代をすごしてきたぼくたちふたり。
これまでほぼ接点がなかったのは不思議な気分になるけど彼もぼくもそれぞれが自分の本当に好きなことを貫いてこなかったら今こうして共にチームをつくるということに至らなかったように思います。
ついこの間は、いつも誠実で真面目な性格の彼がとても酔っ払った様子でぼくのとこにやってきて、
フラフラなのにも関わらず「すみません、今日のぼくは忘れてください」と何度も念を押す姿は本当に印象的でした。
いつもイベントや企みの話ばかりでまだ呑みに行くということをしっかりしていなかったぼくら。
なんでもない話が一番響いたりするものです。
きっと集まってもまた同じように夢の話かあたらしいアイデアの話。
真剣にしか話せない、でもそんな親友がどれほどに貴重で必要な存在でしょうか。
 
 
Q.夢という字を見て 誰を真っ先に思い浮かべますか？
A.THE BLUE HEARTS
 
 
Q.今、あなたの一番の夢はなんですか？
A.映画を撮って多くの人に観てもらうことです。
 
 
 
　 「フラッシュモブ“柏MUSIC SUN2014”」

 
 
 
130人のフラッシュモブに挑戦した、昨年のこのダンスライブ動画。
準備段階から彼は様々な「配慮」を重ねながらこの作品を構築していきました。
柏の街の中心部、駅を降りてすぐの野外広場にて行われた2014年MUSIC SUNの顔とも呼べるイベントにて彼は常々「記録するということの向こう側」について挑戦する意欲をみせていました。
大人からお子さんまで、様々な年齢層の方々がひとつの場所に集い、Bitsという（これまた地元柏の）ダンススクールの方々に協力を得てプログラムをつくるところからスタート。
ただその出来事を撮影するだけではない、ひとつの表情や仕草、空気のスイッチ具合。
見逃してはならないいくつもの瞬間を彼は最小限の人員で格闘しながらこれだけの緊張感と祝祭感ある作品に仕上げてくれました。
イベント当日からしばらく時間を経て送られてきたこの動画を見て「まるで映画のワンシーンのようだ」と彼に言ったところ、ハナワくんはとても悔しそうでした。
（もっとやれる。もっと出来る。もっといい作品がつくれる。）
 
いつか彼の想う“映画”の完成をぼくは心待ちにしている人間のひとり。
だからこそ彼には思いやりと真心溢れる作品を是非ともつくっていただきたいなと期待するのです。
 
実直であるということは、とあるひとつの物事に対してどれだけピュアなエネルギーを持っているかという表れだと思います。
小さな信頼が積み重なって僕たちの企画するこのようなちいさな街のサーキット音楽イベントも成り立っています。
2015年、今年の開催からはよりハナワくんも中心の運営に関わりながら共にハンドリングをしてくれるような存在になりました。
彼の揺らぐことないまっすぐな性格は僕にとって時に道しるべのように、時にサプリメントのように心と想いを結んでくれます。
 
技術やあっと驚くトリックを使って感動を呼び起こす作品、刺激的な映像の数々、
時代がサバイバルしていくと共に一筋縄ではいかない表現が好まれ増えていく中で、
 
どこまでもオーガニックで、ハートフルで、そんな人間味溢れる作品をつくり続けていく覚悟。
 
 
誠実であるということが　誰かの夢の真ん中を引き出す
記録の向こう側に　ありのままの真実と歴史と未来がちいさく輝いている
 
 
彼とぼくがこれからこのMUSIC SUNというフェスを通して見ていく夢の数々が、
最初は小さな種だとしても、やがて街に根を生み、枝を広げ、誰かの心にはじまりの感動となって咲き、
やがては大きな樹＝作品となる瞬間を目指して。
 
2年目の柏MUSIC SUN。
また彼がつくってくれたこのトレーラー映像が柏駅構内に鳴り響き始めました。
 
今年はいったいどんなぼくらのリアルを、味わうことが出来るだろう。
 
ハナワくん、これからもよろしく。
共にこれからも瞬間という夢をたくさん追いかけていこう。
 
 
 
　 柏MUSIC SUN2015

◎今月の夢歌詞・名曲選◎

毎月、藤田が厳選した夢にまつわる名歌詞をご紹介！
 
 
THE BLUE HEARTS「夢」
 
たてまえでも本音でも
本気でも　うそっぱちでも
限られた時間のなかで
借りものの時間のなかで
本物の夢を見るんだ
本物の夢を見るんだ
 
 
今月フィーチャーしたハナワくんもあげていたTHE BLUE HEARTSの「夢」。
この曲の夢という言葉はすべて“自分”ということばにも置き換えられる気がしています。
そしてそれは愛する人や家族、仲間にも向かうエネルギー。
本物の自分に出会うまで、追い求める道のり。続いていくライフストーリー。
 
 
《お知らせ》
ついに第2回開催が決まりました。
昨年10月に第1回を行いスタートした地元街フェス「柏MUSIC SUN」。
今年は5月17日（日）に開催です。
テーマは「駅を降りたら街ごとフェス会場！」
今年は有料会場もひとつ増え、前年よりさらにパワーアップした唄の祭典をお届けします。
 
 
 
柏の音楽サーキットフェス“柏MUSIC SUN2015”