IMG_4340

世田谷は上町の名店・バーボンの「ハンバーグのせオリジナルライス」。前回の出産直前にも食べた、願掛け的メニューです。

 
 

息子がおもしろい


決してそんなふうな子育てをしているつもりはないのだけど、近頃息子は言いたいことがある時にミュージカル的に訴えてくるようになった。加えて、YouTubeの合間の広告で出会ったブルーハーツの「リンダリンダ」が至極気に入った模様で、その歌唱スタイルが完全にヒロトなのです。ちょっと顔をしかめ、エアーでマイクを握り、足を大股に開きつつ大ぶりに揺れながら、「おかーさんとおとーさんと赤ちゃん(まだ生まれてません)と四人でお散歩したら絶対楽しいヨネーッ♪京王線に乗ろうぜーッ♪バスに乗ろうゼーッ♪」と歌い、主訴としては「外に出かけたい」なんだけど、回を重ねるごとに韻踏んできたり言葉巧みになってきたり、本当に面白いです。子育て界隈でよく言われてることだけど、自分の目と耳に即時の録音・録画機能が欲しい(笑)。バタバタと携帯用意するそぶりを見せるとすぐにやめてしまうので、記録するのが本当に難しいんですよね、これが。。。

 
 

村上春樹ブーム再び。


出産が刻一刻と近づくにつれて、先日から再開したカフェ巡りのように、村上春樹作品の読み直しを始めました。病院の帰りに寄った本屋さんで川上未映子さんとの対談本『みみずくは黄昏に飛びたつ』と、河合隼雄さんとの対談本『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』を手に取り、話題にあがった作品を順番に読み返してみようと思ったのがきっかけです。あれ、こんな内容だったっけ? とか、自分の記憶と違う(というか覚えてない)ことも多々あって、これはいい機会だと思って本棚から引っ張り出して読み返しています。

ちょっと前にふと氏のエッセイ本を手に取ったら40代を迎える時に書いたものだったり、「読み返せよ〜〜」という圧は感じてたのですが(誰からw)、いざやってみると面白いですね。これぞ春樹!!と思っていた初期の名作たちの文体が、その青さにこっちが恥ずかしくなってきたりして。いや、好きだし、春樹といえば! な、一言で喩えられることを敢えて200文字くらいつかってこねくり回した表現とかべつに今も変わらないんだろうけど、成熟してないがゆえのリズムというか…村上さんも20代だったんですね! って嬉しくなる。同じことを、私の棺に入れて一緒に焼いて欲しい作品の一つである吉本ばななさんの『キッチン』にも思うんですが、みんな文字通り新緑みたいに青々として瑞々しい時代が確実にあって、その時代から積み重ねて、変化を繰り返して今ここにいるんだなと感じて、初期からリアルタイムであるわけじゃないけど、ハマりだしてからある程度の歴史を追いかけることができていて幸せだなあ〜としみじみしたのでした。

さらに刊行順に読んでいくと、明らかにここから次のフェーズに変わったと思う地点があって、これもまた面白いのです。私はもともと大好きな作家さんであればあるほど、物語の世界を守りたくてエッセイとか対談とか読まない(読めない)タイプだったのですが、いつの頃からか読むようになって、また違った角度で楽しめるようになりました。これも年の功。

ところで蛇足ですが、村上春樹好きの人たちを巷では「ハルキスト」って言うことが多いのですが、ご本人としては「村上主義者とかにして欲しい」(『村上さんのところ』記載)とのことでした。私はこれから「村上主義者」と言っていくことにしますね。

 
 

つづく。


さて、現在のかたちのYUMECO RECORDSが、12年の歴史に幕を閉じます。12年前にぴちぴちの28歳だった私も、先月お伝えした通り40歳を迎えました(年齢ネタしつこくてすみません)。30代をまるまる通して携わることができた、というのは、自分の人生にとってもすごく大事なことであったとしみじみ感じています。学生時代でもなく、20代でもない。30代ってこれまでを積み重ねながらも新しい扉をごんごん開かなくちゃいけない場面が次々やってきて、私生活ではそれを乗り越えながら、たまに書かせていただきつつ(連載とかいってほとんど気まぐれのタイミングでした…)、毎月届く連載陣の方々の原稿を読者の方より先に読ませていただいてニヤニヤして、本当に得な役回りでした。

学生の頃の私は、第一に新聞記者を目指していました。でも、就職活動でまったく太刀打ちできず、挫折して、それでも書くことを仕事にしたいと思い、文章が書ければなんでもいいと思って広告雑誌の編集から社会人が始まりました(編集と記者は全然違う仕事だけど、文字通り、最低限文章を書くことに携われればって)。そこから色々と職歴を重ねていくわけですが、そんななか20代の終わりにひょんなことで上野三樹さんに出会い、YUMECOに出会ったのでした。

YUMECOの連載を書かせていただくことになってから、毎月の締め切りが守れたことって2割にも至らない気がしています(冷汗)。ライブを見て、本を読んで、観劇して、美味しいご飯を食べて、その瞬間確かに心が揺さぶられて目の前がキラキラしてああこれを伝えたい! って震えるのに、いざ文章にしようと思うと自分から出てくる全ての言葉が陳腐に思えてゴールに辿り着けないことばっかりで。それこそが私が書くことを仕事にできない何よりの理由なんだろうなと、いつも思っていました。

安心してください、全然ネガティブな話じゃないですよ! 学生時代、就職活動を始めた頃は、新卒で就職する場所が全てだ、行きたいところに行けなかったら終わりだ! くらい追い詰められていたこともありました。結局何が正解なのかはその時には見えないけど、生きていくなかで積み重ねてきたから今があると思うと、ありきたりですが無駄なことってなかったなーと思ったりします。

40歳って人生の折り返しになりますかね? なかなか面白い日々だったし、今もいい感じなんじゃないかって思えています。なんだかんだこれまでの経験が複合的に今の仕事に生きてきているし、人間の子供を産んで育てるなんてまったく思っていなかったことやってるし、まあまあ絶望した時期もあったけど、結局捨てたもんじゃないって思えている。ニヤニヤしながら「悪くないだろう」。って感じです。

だからと言って今ものすごく悩んでいる人を相手にして「いいことあるから!!」って無責任に背中を叩く勇気はないんだけど。私が元気でいることで、半径5mの人たちから元気になったらいいな。人生は続く。続くから、やっぱり書くことは気負いすぎずに「ねー聞いて聞いて〜〜」ってお喋りする気持ちで続けていけたらと思っています。

Xは約10年前、Twitterの時代に辞めてしまっていたのだけど、あれでぼやいてたのとか今思えばいい筋トレ? ストレッチ? になってたんだろうな〜と感じるので、来年は再開しようかな〜とかSNSともうまくお付き合いして外の世界に出ていく1年にしていきます。

みなさま、出会っていただいてありがとうございます! またきっとどこかで!
上野さん、今後ともどうぞよろしくお願いいたします❤︎

 
 
IMG_4378
 
 
 


 
sawaいとうさわこ●都内に住む産休中のパラレルワーカー(おかん業含む)です。どこかで再会した時に元気すぎてうざがられるくらいの存在でありたいなと思います。5歳差育児とか上の子の反抗期とかにげっそりしながらも、この人なんでこんな元気なん? ってなるご機嫌な40代を過ごしたい。元気でいましょうね! なんでももできるかはわからんけど元気がないと何にもできないからね! どうか良いお年をお迎えください。