4月も半ばを過ぎて、あたたかい日が続いています。3月までずっと肌寒い日が続いていたのが信じられないぐらい。先日、The BirthdayのEP『April』が届きました。チバさんの手書き文字、どこか達観したような歌声、そして制作現場に思いを馳せて…感情が溢れてしまった。でも、ずっとリリース後を案じていたけれど、今月末の「ARABAKI ROCK FEST.24」にキュウちゃん(クハラカズユキ)、ケンジさん(フジイケンジ)、ハルキくん(ヒライハルキ)3人のゲスト出演が決まったことが今はとても嬉しい。どうか、The Birthdayという灯をともし続けてほしいと願っています。

 
 

 
 

例年3月下旬には満開を迎える関西の桜。4月上旬に関東から友人が遊びに来る予定だったので、桜の開花をドキドキしながら見守っていました。当初は「どうか4月も咲いていてほしい」と。でも、今年は3月下旬の遅い開花宣言だったため、絶好のタイミングで桜を楽しむことができました。機会があったら行きたいとあたためていた、なるべく混雑の少ない桜の名所をピックアップ。平安神宮神苑の風に揺蕩う紅枝垂れ桜は、濃いピンクの花びらが愛らしく、夜間拝観の東寺はライトアップされた五重塔と咲き誇る桜のコラボが幻想的で、友人も喜んでくれました。

 
 
写真1

東寺の夜桜ライトアップ

 
 

彼女との出会いは東京のアパレル会社でした。部署は違っていたものの、お互いの雰囲気が似ていたせいか波長が合って、(学年は違うけど)誕生日が同じということがわかったときには、なんだか妙に納得したことを覚えています。美味しいものを食べながらたくさん話をしたし、ライブハウスに付き合ってもらったことも。約20年ぶり(!!)の再会だったけど、まるで昨日も話していたかのように話が弾んで(話すテンポもお互いスローで)、あぁ、そうそう、こんな感じだったなと、当時と変わらないほわっとした空気感に和みました。何年も口にしていなかった同僚、上司の名前と顔が、不思議と“降りてきた”し、私が覚えていたことはここでは言えないような“しょうもない”話ばかりだったけれど(笑)、みんないい人だったよね、可愛がってもらったよねと、お互いの近況報告なども交えながら、これまでのブランクを埋めるようにしゃべりっぱなしの楽しい時間でした。

驚いたのは、ランチの手まり寿司14貫をお互いランダムに食べていたのに、ふと気がつくと最後の3貫が見事に一緒だったこと! 食の好み、相性の良さをしみじみ感じました。食べることが大好きな彼女の笑顔を見ながら、当時も「美味しいものを食べたら嫌なことも忘れられる」と言っていたことを思い出して笑ってしまった。やっぱり性格って変わらないんだなって(笑)。ご家族もいて仕事もして多忙なのに、こうして時間を作って泊まりで会いに来てくれたことが本当にありがたかった。直感的でフットワークが軽いのは私が自負するところだけど、さらに上をいく彼女の行動力に脱帽。誰かの心にぽっと浮かんだり、元気かなと思ってもらえたりすることはとても嬉しいことで、私もそんな風に会いたい人のところにすぐに飛んでいける人でありたいです。

 
 
写真2
色鮮やかで一つひとつが芸術品のような手まり寿司

 
 

飛んで会いにいきたい人の一人、斉藤和義さんの今年の活動は、岡村靖幸さんとのユニット「岡村和義」。岡村さんの『Out of Blue』が大好きで何度もライブに行ったけれど、このニュースを聞いたときにはとにかくびっくりしました。まさかこんな夢のようなユニットが実現するなんて。5月からスタートする全国ツアー「OKAZ TIME(オカズタイム)」は、タイトルからすでに心がくすぐられてワクワクが止まらない。ダンサブルでショー要素満載のエンターテインメントを詰め込んだ“岡村ちゃん”のライブと、バンドのグルーヴ感、パッションに重きを置く和義さんの、一見異なるライブスタイルがどのように融合し昇華していくのか。また、岡村さんの“ベイベー”が和義さんからも聞けるのか(個人的…笑)、など今から楽しみで仕方がありません。現在、5か月連続リリース中の「岡村和義」の第4弾『サメと人魚』は、私たちを一瞬で溶かすロマンティックなバラード曲。岡村さんの色香のある歌声と和義さんのメロディアスなギターソロ、そして、MV出演の木竜麻生さん(木竜さん出演作、ドラマ『エルピスー希望、あるいは災いー』を見た和義さんたってのリクエストだったそう)も必見です。

 
 

 
 

見ごろを過ぎた桜の花がハラハラと散り始めるころはほんの少し感傷的な気持ちになるけれど、葉桜を経て青々とした新緑を纏う桜の木には生命力が漲っていて、いい季節が来たなと心が躍ります。この連載も8年目に入り、改めて身が引き締まる思いです。みなさま、いつもあたたかく見守っていただき、ありがとうございます。また1年、心がときめくような瞬間を紡いでいけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 
 
写真3
篠山城跡の枝垂れ桜の下で。妹のうちのワンコも5歳になりました

 
 
 
 


 
プロフィール用写真shino muramoto●京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。先日ある騎手がレース中の落馬事故で亡くなりました。競馬というスポーツは常に危険と隣り合わせだということはよくわかっていたつもりだけど、とてもショックで今でも信じられない…。さっきまで目の前にいた人がどうして。周りの方たちの心情を思うと言葉になりません。どうか、これまで以上に対策を講じていただきたいと願うばかり。そして、今日も命懸けでレースに挑む馬と騎手に敬意を払い、無事に完走することを祈り続けたいと思います。藤岡康太騎手、どうぞ安らかに。
 
 

【shino muramoto「虹のカケラがつながるとき」】
第83回「見えなくなってもずっとそばにある。祈りのような映画『i ai(アイアイ)』を鑑賞して」 
第82回「ぶっきらぼうなロマンティスト 純粋にロックを貫いたチバユウスケの品格」
第81回「3年の延期を乗り越えて…キャストの結束を感じたM&Oplaysプロデュース『リムジン』観劇レポート」
第80回「アニキが喋った! 歓喜に沸いた岡山の夜 “GRAPEVINE TOUR 2023”」
第79回「斉藤和義さんライブツアー“30th Anniversary Live 1993-2023 30<31〜これからもヨロチクビーム〜”」
第78回「今、関西がアツい! 2023夏はまだまだ終わらない」
第77回「涙のシンガロングで終幕した10周年アニバーサリーイヤー・石崎ひゅーい “『キミがいるLIVE』-Piano Quintet-”」
第76回「“今、ここにいる” 江口洋介さんがデビュー35周年のスペシャルライブで語った大人へのエール。『BE HERE NOW~35th Anniversary~』」
第75回「神々しい佇まいは露伴そのもの。高橋一生さん主演『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を鑑賞して」
第74回「2023年4月・想いのカケラたち」
第73回「介護の厳しい現実を考える、松山ケンイチさん×長澤まさみさん主演『ロストケア』を鑑賞して」
第72回「歌に託した想いと“最愛”のGRAPEVINEリビジットツアー『in a lifetime present another sky』」
第71回「万事休すからのスペシャルギグ! 斉藤和義さん弾き語りツアー『十二月~2022』」
第70回「“いつか星空の下で” 石崎ひゅーい『ナイトミルクLIVE 10th Anniversary〜」
第69回「名実ともに兼ね備えた純白のアイドルホース・ソダシの底力」
第68回「「水墨画は心を映し出す。横浜流星さん主演『線は、僕を描く』を鑑賞して」
第67回「迫力ある魔法に驚きと興奮の連続! 『ハリー・ポッターと呪いの子』観劇レポート」
第66回「自らを追い込んで飄々と一人芝居に挑む! 高橋一生さん『2020(ニーゼロ ニーゼロ)』観劇レポート」
第65回「渾身の力で“天”に届けられたメロディー。石崎ひゅーい “10th Anniversary LIVE 『、』(てん)”」
第64回「能楽の舞台に舞い降りたポップスター! アニメーション映画『犬王』を鑑賞して」
第63回「MANNISH BOYS-Anniversary LIVE TOUR 2022 GO! GO! MANNISH BOYS! 叫び足りないロクデナシ- 」
第62回「10年分の想いを花束にして。石崎ひゅーい Tour 2022“ダイヤモンド”」
第61回「すべてを愛せるツアーに。中村 中さん『15TH ANNIVERSARY TOUR-新世界-』」
第60回「戻らないからこそ愛おしい。映画『ちょっと思い出しただけ』を鑑賞して」
第59回「ジギー誕生50年!今なお瑞々しさと異彩を放ち続けるデヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画『ジギー・スターダスト』」
第58回「2年ぶりの想いが溢れたバンド編成ライブ! 石崎ひゅーい 「Tour 2021『from the BLACKSTAR-Band Set-』」
第57回「中村倫也さんと向井理さんの華麗なる競演! 劇団☆新感線『狐晴明九尾狩』」
第56回「斉藤和義が最強のバンドメンバーと魅せた“202020&55 STONES”ツアーファイナル」
第55回「飄々と颯爽と我が道をゆく。GRAPEVINE “tour 2021 Extra Show”」
第54回「こういうときだからこそ豊かな未来を歌う。吉井和哉さん “UTANOVA Billboard”」
第53回「高橋一生さんの覚悟と揺るぎない力を放つ真の言葉。NODA・MAP第24回公演『フェイクスピア』観劇レポート」
第52回「観るものに問いかける『未練の幽霊と怪物 ー「挫波」「敦賀」ー』」
第51回「明日の原動力になる『パリでメシを食う。』ブックレビュー」
第50回「こんな時代だからこそのサプライズ。優しさに包まれる藤井フミヤさんコンサートツアー“ACTION”」
第49回「いよいよ開催へ! 斉藤和義さんライブツアー“202020&55 STONES”」
第48回「全身全霊で想いを届ける。石崎ひゅーい“世界中が敵だらけの今夜に −リターンマッチ−”」
第47回「西川美和監督の新作『すばらしき世界』公開によせて」
第46回「森山未來が魅せる、男たちの死闘『アンダードッグ』」
第45回「チバユウスケに、The Birthdayの揺るぎないバンド力に魅せられた夜 “GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR”」
第44回「ありがとうを伝えたくなる映画『461個のおべんとう』」
第43回「京都の空を彩る極上のハーモニー。パーマネンツ(田中和将&高野勲 from GRAPEVINE)with 光村龍哉さん『聴志動感』~奏の森の音雫~」
第42回「清原果耶さんの聡明さに包まれる映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』」
第41回「YO-KINGのはしゃぎっぷりがたまらない! 真心ブラザーズ生配信ライブ“Cheer up! 001”」
第40回「ギターで感情を表す本能のギタリスト~アベフトシさんを偲んで」
第39回「真心ブラザーズ・桜井秀俊さんのごきげんなギターと乾杯祭り! 楽しすぎるインスタライブ」
第38回「斉藤和義さんとツアー『202020』に想いを馳せて」
第37回「奇跡の歌声・Uru『オリオンブルー』が与えてくれるもの」
第36回「名手・四位洋文騎手引退によせて。」
第35回「2020年1月・想いのカケラたち」
第34回「藤井フミヤ “LIVE HOUSE TOUR 2019 KOOL HEAT BEAT”」
第33回「ドラマティックな世界観! King Gnuライブレポート」
第32回「自分らしくいられる場所」
第31回「吉岡里帆主演映画『見えない目撃者』。ノンストップ・スリラーを上回る面白さを体感!」
第30回「舞台『美しく青く』から見た役者、向井理の佇まい」
第29回「家入レオ “ 7th Live Tour 2019 ~Duo~ ”」
第28回「長いお別れ」
第27回「The Birthday “VIVIAN KILLERS TOUR 2019”」
第26回「石崎ひゅーいバンドワンマンTOUR 2019 “ゴールデンエイジ”」
第25回「中村 中 LIVE2019 箱庭 – NEW GAME -」
第24回「MANNISH BOYS TOUR 2019“Naked~裸の逃亡者~” 」
第23回「控えめに慎ましく」
第22回「藤井フミヤ “35 Years of Love” 35th ANNIVERSARY TOUR 2018」
第21回「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」
第20回「真心ブラザーズ『INNER VOICE』。幸せは自分のなかにある」
第19回「KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26~これからもヨロチクビーチク~」
第18回「君の膵臓をたべたい」
第17回「Toys Blood Music(斉藤和義 Live Report)」
第16回「恩返しと恩送り」
第15回「家族の風景」
第14回「三面鏡の女(中村 中 Live Report)」
第13回「それぞれの遠郷タワー(真心ブラザーズ/MOROHA Live Report)」
第12回「幸せのカタチ」
第11回「脈々と継承されるもの」
第10回「笑顔を見せて」
第9回「スターの品格(F-BLOOD Live Report)」
第8回「ありがとうを伝えるために(GRAPEVINE Live Report)」
第7回「想いを伝えるということ(中村 中 Store Live/髑髏上の七人)」
第6回「ひまわりのそよぐ場所~アベフトシさんを偲んで」
第5回「紡がれる想い『いつまた、君と~何日君再来』」
第4回「雨に歌えば(斉藤和義 Live Report)」
第3回「やわらかな日(GRAPEVINE Live Report)」
第2回「あこがれ(永い言い訳 / The Birthday)」
第1回「偶然は必然?」

[Live Report]
2017年1月27日@Zepp Tokyo MANNISH BOYS “麗しのフラスカ” TOUR 2016-2017
斉藤和義 Live Report 2016年6月5日@山口・防府公会堂 KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”
GRAPEVINE/Suchmos Live Report 2016年2月27日@梅田クラブクアトロ“SOMETHING SPECIAL Double Release Party”
斉藤和義 Live Report 2016年1月13日@びわ湖ホール KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”