今年もわずかになりましたが、こちらを書いている今は、サッカー・ワールドカップカタール大会の話題で連日盛り上がっています。日本代表の選手たちが世界の名手を相手に互角にプレイしているようすは本当にすばらしい。こちらの記事が更新されるころには、どのような結果になっているのか気になるところではありますが、競馬ファンの私としてはスターホースが出走する有馬記念が近づくにつれて今年も終わりだなと実感する毎日です。今回は、久々に競馬の話題をお届けしてもよいでしょうか。
馬は私にとって子どものころから気になる存在でした。小学校の遠足で競走馬のトレーニング施設を見学したり近所に競馬に関わる仕事をされている方がいたり。競馬場に足を運ぶようになったのはずいぶん後のことですが、初めて競馬場に行ったときに観た競走馬の美しさは格別でした。今でもレースを控えた馬たちが馬体を披露するパドックが好きです。手入れされたピカピカの馬体でキビキビと活気のある歩様を見せる馬や厩務員(調教助手)の方に甘えている馬、興奮してうるさくなっている馬など(馬なりに何か主張しているのかもしれません)、馬にもそれぞれ個性があって、そんな姿も愛おしくていつも無事に完走することを祈りながら見守っています。パドックで大暴れしていて、スタミナを消耗しているんじゃないかと心配していても騎手が乗ると落ち着いたり、騎手に導かれるように弾けて優勝することもめずらしくないのだから、本当に馬の能力ってすごいです。
これまで、馬から放たれるオーラに鳥肌が立つようなシーンに何度も遭遇してきました。ディープインパクト、ウオッカ、オルフェーヴル、ゴールドシップ、キタサンブラック、コントレイル、タイトルホルダーなど…。強さだけでなく、気品やプライド、美しさを兼ね備え、観衆の目を一瞬でくぎ付けにする馬たち。最近ではやはり白毛のソダシ(牝4歳)が筆頭でしょうか。メディアなどでも紹介されているので、競馬ファンでなくてもみなさまご存じかもしれませんね。世界でも10万頭に1頭といわれる白毛馬のソダシが、2年前2歳のときにG1レース(阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝ったのは世界初の快挙でした。
その後、昨年秋華賞を優勝し、今年の5月にヴィクトリアマイルでG1を3勝した際には、アメリカのニューヨーク・タイムズがソダシの特集を掲載したのだそうです。「稀代の牝馬が競馬場で輝きを見せた」「雪のように白いソダシが走る姿はまるで映画のようだった。ジョッキーのハヤト・ヨシダと真っ白なメンコはそれを際立たせていた」と絶賛、日本の競走馬が取り上げられることは極めて異例のことなのだとか。先日、阪神競馬場で行われたマイルチャンピオンシップでも、ソダシを観ようと集まった観客の多さに驚きました。これまでに比べて入場者数の制限も少し解除されたため、初めてソダシを観る方も多かったのかもしれません。
ソダシがパドックに姿をあらわしたとき、遠くからでもひとめでわかる純白の馬体に地響きのようなどよめきが起こる、そんな光景を目の当たりにしました。時折遊びながらも堂々と周回するようすはまさにアイドルホースにふさわしい風格。パドックだけでなく、施設内の窓や階段まで埋め尽くす大勢の観客を一瞬で夢中にさせる神々しさには魅せられました。レースでは残念ながら3着だったけど、牡馬に混じって大健闘。道中寄られたりぶつけられたりのタフなレースで、ほかの有力馬が馬群に沈むなか、果敢にゴールを目指すソダシの底力を見たような気がしました。
ソダシを担当されている今浪さんによると(あの暴れん坊のゴールドシップも担当されていたベテラン厩務員さんです)、気が強くて、気性がだんだんゴールドシップに似てきているのだそう。おとなしいときはおとなしいけど、嫌がるときは体に触れられることも嫌い、今浪さんに向かってくることもあるのだとか(笑)。今浪さんからすれば笑いごとではないのかもしれないけど、そんなソダシを想像するだけでかわいいと思ってしまう。でも、そんなソダシの気の強さが負けん気の強さとなって、いい意味でレースにあらわれているのかもしれません。ソダシ自身負けたことは不本意かもしれないな。次は先頭でゴールする姿が観たい! 次走はまだ未定とのことですが、出走する際にはぜひ注目していただけたらと思います。
今年最後の記事も、読んでいただきありがとうございました。いつも読んでいただけること、感想を寄せていただけること、本当にうれしくて私の日々の活力になっています。来年は、斉藤和義さんのデビュー30周年YEARでもありますし、また盛りだくさんでお届けできればと思っています。今年もありがとうございました。みなさまどうぞよいお年をお迎えください。
shino muramoto● 京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。11月12月初めにかけて、にしなちゃん、真心ブラザーズ、斉藤和義さん、The Birthday、そしてひゅーいくんのイベントと盛りだくさんでした。なかでも、森山未來さんの振付家・ダンサーのエラ・ホチルドさん、脳科学者の中野信子さんとのコラボレーション公演、没入型パフォーマンス「FORMULA」はとても斬新で刺激的でした。あんなに吸い込まれるようにステージを観ていたのは初めて。いつも私たちの想像のはるか先を進んでいく未來くんは尊敬でしかありません。
【shino muramoto「虹のカケラがつながるとき」】
☆競馬関連の記事☆
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第33回「ドラマティックな世界観! King Gnuライブレポート」
第32回「自分らしくいられる場所」
第31回「吉岡里帆主演映画『見えない目撃者』。ノンストップ・スリラーを上回る面白さを体感!」
第30回「舞台『美しく青く』から見た役者、向井理の佇まい」
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第26回「石崎ひゅーいバンドワンマンTOUR 2019 “ゴールデンエイジ”」
第25回「中村 中 LIVE2019 箱庭 – NEW GAME -」
第24回「MANNISH BOYS TOUR 2019“Naked~裸の逃亡者~” 」
第23回「控えめに慎ましく」
第22回「藤井フミヤ “35 Years of Love” 35th ANNIVERSARY TOUR 2018」
第21回「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」
第20回「真心ブラザーズ『INNER VOICE』。幸せは自分のなかにある」
第19回「KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26~これからもヨロチクビーチク~」
第18回「君の膵臓をたべたい」
第17回「Toys Blood Music(斉藤和義 Live Report)」
第16回「恩返しと恩送り」
第15回「家族の風景」
第14回「三面鏡の女(中村 中 Live Report)」
第13回「それぞれの遠郷タワー(真心ブラザーズ/MOROHA Live Report)」
第12回「幸せのカタチ」
第11回「脈々と継承されるもの」
第10回「笑顔を見せて」
第9回「スターの品格(F-BLOOD Live Report)」
第8回「ありがとうを伝えるために(GRAPEVINE Live Report)」
第7回「想いを伝えるということ(中村 中 Store Live/髑髏上の七人)」
第6回「ひまわりのそよぐ場所~アベフトシさんを偲んで」
第5回「紡がれる想い『いつまた、君と~何日君再来』」
第4回「雨に歌えば(斉藤和義 Live Report)」
第3回「やわらかな日(GRAPEVINE Live Report)」
第2回「あこがれ(永い言い訳 / The Birthday)」
第1回「偶然は必然?」
[Live Report]
2017年1月27日@Zepp Tokyo MANNISH BOYS “麗しのフラスカ” TOUR 2016-2017
斉藤和義 Live Report 2016年6月5日@山口・防府公会堂 KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”
GRAPEVINE/Suchmos Live Report 2016年2月27日@梅田クラブクアトロ“SOMETHING SPECIAL Double Release Party”
斉藤和義 Live Report 2016年1月13日@びわ湖ホール KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”