始まりましたGAL Radio。ここは友人とカフェで過ごすように、音楽の魅力についてまったりお話する場所です。是非ゆっくりしていって下さい。
少し前の話になりますが、昨年の音楽にまつわる体験の中で印象に残った出来事、音楽プロデューサー・蔦谷好位置さんとのおもひでをぽろぽろと書き留めたいと思います。
まずは蔦谷さん作曲、YUKIさんの代表曲『JOY』をお聴き下さい!
1.音楽を愛し、音楽に愛された人
好きな曲のクレジットには蔦谷さんの名前が
僕が蔦谷さんの音楽と出会ったのはYUKIさんの「ハローグッバイ」と「JOY」でした。出会いと別れ、音楽や人生の美しさを表現したような歌詞(YUKIさんとの共作)と今まで聴いたことのないキャッチーなメロディ、サウンドのポップさが心をガッツリ鷲掴みます。それからもCharaさんやエレファントカシマシ、ゆずなど素晴らしい楽曲のクレジットを見る度に蔦谷さんのお名前が。意識して追いかけて聴くようになります。
Produce / Sound Produce / Compose / Arrangement / Lyrics
Keyboards / Piano / Bandmaster / CM Music / BGM
蔦谷さんの音楽の魅力
一言でお伝えするのなら、どの楽曲にも普遍的かつ新しい美しさがあることです。
そしてそれは楽曲の最適解と最高値を引き出す「理論と感覚の絶妙なバランス」によって産み出されます。曲にとって最もフィットした最&高なチョイスということです。
音楽を創作していく時、主観と客観を繰り返すことが大切だと僕は考えています。メロディ、歌詞、アレンジにしても、無数の選択肢の中からたったひとつを選びますよね。鳴らす本人の心が動いた初期衝動をリスナーに届けるためにはどうしたら伝わるか、全てのミュージシャンはそれを日々試行錯誤しているはずです。
曲作りを旅に例えてみます。鳴らす本人と聴く人の心が出会う場所を目的地として出発しましょう。旅の醍醐味は様々ですが、道に迷った先で素敵な人や景色と出会ったり、プランにはない予期せぬハプニングが思い出に残ったりしますよね。音楽にもそれがある気がしていて、作為的ではなく作意的にその音の必然性を鳴らせた時、鳴らす側と聴き手のパーソナルな部分が心の深い場所で共鳴し、同じ景色を見れるんだと思います。
この偶然を第三者の視点からキャッチするのがプロデューサーという立場なのかなと思います。ミュージシャンと共に主観と客観を共に繰り返し、引き出す。
そのためには多くの理論と感覚と信頼が必要になります。
音楽は感覚的な面と数学的な面を持った表現です。感覚だけでは到底説明しきれないし、理論はあくまでも感覚のスパークを最大限増幅させるためのもので、両方大事なんです。
(理論的、衝動的のどちらかに振り切った音楽も素晴らしく創作は自由という前提です)
蔦谷さんはクラシックからジャズ、ヒップホップやEDMまでジャンルレスな音楽的ルーツが裏付ける上質なポップスを得意とされています。格調高いクラシカルな要素と最新のサウンドを融合させることで普遍的なのに新しい音になるのだと感じます。
「自分がバンドで成功しなかったからこそ、関わるみんなには長く音楽を続けてほしい」(J-WAVE『THE HANG OUT』よりコメント一部抜粋)
という言葉からも音楽への愛情の深さ、世代を問わないミュージシャンへのリスペクトが垣間見えます。携わる作品がそのミュージシャンのターニングポイントとなる曲が多いのはひとつひとつの音に魂を込め、曲が求める音を追求してきたからではないでしょうか。
偉そうに語りましたが、ご説明してきたことを全て抜きにして、純粋に音として感動する、一瞬で景色を変えてくれる、理由なんて置き去りにしてしまう素晴らしさをどの曲からも感じさせてくれることが僕が蔦谷さんの音楽に惹かれる理由です。間違いなく音楽を愛し、音楽から愛された方のお一人です。
2.Music In The Best Position
常にチャレンジし続け、音楽の可能性を探る蔦谷さん。その音楽への情熱と造詣の深さを表すイベントが3月1日、札幌で開催されました。札幌交響楽団と様々なアーティストのコラボで話題を呼んだコンサートは、miletさん、かてぃんこと角野隼斗さん、SHOW-GOさん、Awesome City Clubといった今最も注目の方々から、北海道出身、新進気鋭のFurui Rihoさん、駒津柚希さんまで蔦谷さんならではな幅広い人選。関ジャムなどの音楽番組で素敵な音楽を紹介するオーガナイザーとしての一面のひとつの集大成とも言える豪華で贅沢な演目の数々。オーケストラとヒューマンビートボックスの共演なんて歴史的な出来事ですからね!
ナイポジの愛称で親しまれている蔦谷さんのまさにベスポジな公演タイトルも感慨深い。僕は残念ながらチケット落選し映像で拝見したのですが、会場を包む多幸感が伝わってくる瞬間の連続でした。初めて聴くFurui Rihoさんのパワフルな歌声が一番衝撃で、またしても新しい音楽との出会いを頂戴してしまいました。
3.蔦谷好位置クイズ優勝しました!!
そんな日本を代表する大音楽プロデューサーに詳しい人物を決めるクイズが遡ること半年ほど前に行われまして、わたくし高橋圭、僭越ながら優勝を収めました!
この企画は蔦谷さんが地元、北海道・札幌の中学時代のご友人すどうさんと再会した際に「蔦谷さんに詳しいすどうさんがクイズを作ったら面白いのでは」という会話から展開します。詳しくはこちらの動画をご覧ください。
回答は進研ゼミのごとく
【すどう企画蔦谷好位置クイズ】
すどうさん作成のGoogleフォーム特設ページにて2021年10月に開催。
全15問 / 参加者:123名 / 平均正答数:7,8問
試験当日(試験だと思ってる)開始時刻と同時にサイトへアクセス。万が一正答数が同じ方がいた場合、先に回答した方が有利か? なども考え、約40分で回答。
結果は15問中12問正解。蔦谷さんのお姉様と同率一位、一般枠トップという形で見事、初代王者の座に輝きました(蔦谷さんの奥様は13問正解)。
大会実行委員長・すどうさん作成の問題がTBSオールスター感謝祭のクイズ並に絶妙で、直近から過去のエピソードに至るまでラジオ、テレビ、ネット記事など蔦谷さんの活動を幅広く把握していないと解けない難易度。選択形式だったのですが、上手く引っかける選択肢もやりがい感じまくりでした。
進研ゼミの勧誘マンガの主人公が進研ゼミを始めてから受けるテストの最中の心理描写のごとく「分かる、分かるぞ!」と終始ニヤニヤしながら解いていました(変態)。
いくつか出題例を挙げますね。
Q4:20歳の蔦谷青年がセキュリティがゆるいことに気付き楽屋に侵入し、実際に本人と会えた感激のあまり、泣き崩れてしまったという、アーティストとは誰か?
A:ハービーハンコック
Q6:大学3年の時、麻雀に明け暮れていた蔦谷に「なにやってるんですか!蔦谷さん!音楽やらないんですか!」と再び音楽の道へと戻してくれた人物の名は?
A:りきやくん
Q7:上手く行かず2年も作曲が出来なかった蔦谷好位置。しかしある日突然、5分で作曲が出来た。その一連の経緯を彼はどう表現したか?
A:5分で出来たのではなく、2年と5分かかった
Q8:「ジュニアの後輩と思しき男性」と書かれ蔦谷の顔に目線を入れた状態で掲載した週刊誌は?
A:フライデー
ね?マニアックでしょ(笑)?
これは完全なる自慢ですが、自分の蔦谷さん知識レベルを確認したく、今回はネットや資料は一切見ずに記憶のみで回答しました。それで優勝凄くないですか?(誰も言わないから自分で言っていくスタイル!)
優勝後、すどうさんと何度かメールでご連絡を取らせて頂きました。お互いの蔦谷さんへの想いを語り合う文通のようなやりとり、とても楽しかったです。そして真の蔦谷さんフリークは紛れもなくすどうさんです!
優勝者コメント(僕です)
「この度、蔦谷好位置クイズ優勝という素晴らしき栄光を頂き大変光栄です!
と同時に、全問正解出来ず蔦谷さんフリークとしては申し訳ない気持ちも。。
第2回、3回と開催された暁にはパーフェクトを狙いたいと思います。」
クイズ優勝者発表の際、蔦谷さんとインスタライブでお話する機会を急遽頂きました。(頂いてばかりですね)
僕が16歳の時に観に行ったYUKIさんのZepp Tokyoでのライブ、そのオープニングSEを蔦谷さんが作られていてとても印象的だったお話をしました。
蔦谷さんは「あのSEはすごく力を入れて作りました。ライブのオープニングはお客さんがみんなテンションが上がって聞かれてなかったりするけど、ちゃんと聴いてくれていた人がいて嬉しいです。」と語って下さり、17年越しに感動を伝えられた素敵な夜でした。
静かに始まり徐々に力強く響いていくその音が『元JUDY AND MARYのYUKI』から『YUKI』として再ブレイクしていく夜明け前、幕開けの音に聴こえ「これはすごいことになっていくんじゃないか」と胸が震えたのを確か芸人の有吉弘行さんが仰っていた「本当のスターは2度ブレイクする」という趣旨の言葉とセットで思い出します。YUKIさん、本物ですよね。その後のYUKIさん、蔦谷さんのご活躍は皆さんもご存知の通りです。
蔦谷さんとYUKIさんが「JOY」で出会い、リリース順ですと「ハローグッバイ」から配信限定シングル「ビスケット」まで8作連続で楽曲がシングルに選ばれます。
僕も作曲家の端くれとしてコンペに参加しますがこれはとんでもなく凄いことです。
この出会いがなければ蔦谷さんがその後制作された名曲たちは生まれていなかったかもしれないと考えると、音楽も人生も出会いだと改めて強く感じます。
蔦谷さんの曲が僕にとって大切な曲になったように、僕も誰かにとってのそんな曲を一曲でも書けるよう精進して参ります。
2022年もあなたにとって素敵な音楽との出会いがありますように。
出会いと別れを歌ったこの曲をお届けして今回はお別れです。
最後までお読み頂きありがとうございました!
オススメしたい!のコーナー
毎回テーマに沿った楽曲やプレイリストを独断と偏見でご紹介しています。
My Best 蔦谷好位置 Works
1.ビスケット /YUKI
2.長い夢 /YUKI
3.JOY / YUKI
4.虹 / ゆず
5.笑顔の未来へ / エレファントカシマシ
6.そして、僕が届かない / Chara
7.NOW ON AIR / 赤い公園
8.住所 feat. 岡村靖幸 / KICK THE CAN CREW
9.いちご / ゆず
10.高嶺の花子さん / back number
Apple Musicプレイリスト
YUMECO RECORDSのテーマソングを作ろう!Season 2
【Vol.02 小倉大輔さん】
1年間かけて様々な方とひとつの楽曲を育てていく企画。今回はベーシスト小倉大輔さんにベースを弾いて頂きました! サウンドが少しずつ立体的になってきましたね。夢にまつわる素敵なメッセージも頂きました。今後も一緒に見守って行って下さい。
小倉大輔
埼玉県久喜市出身、4月18日生まれのAB型。
ベーシスト。
色糸ステラでの活動を経て、2011年ホタルライトヒルズバンドに加入。
バンド活動に加え、「覆面系ノイズ」を始めとする映画等の劇中演奏指導者や、
多数アーティストのライブ&レコーディングサポート演奏もつとめる。
(amamori/ITAZURA STORE/エナ/小関裕太/サンプラザ中野くん/STARBABYS/すとう舞/ソラリナ/つりあやめ/橋本桃/HARUKA/野坂ひかり…etc)
高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始、2016年活動休止。現在は演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けるスタイルでソロ活動中。楽曲はApple Music、Spotifyなどで配信中。レコーディングなどお仕事依頼はTwitter DMからお待ちしております。
Twitter:@zazamino
イラスト:matsun
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」
第17回「新曲発表のコーナー『ねぇ、できちゃった』完結編!」
第18回「YUKI『聞き間違い』から学ぶ “ きっと大丈夫 ” 講座」
第19回「何故私たちはクリスマスソングを作り、聴くのか」
第20回「TRICERATOPSから学ぶリフで踊ろう! 講座」
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」
第22回「3ヶ月連続企画! 第2弾「Chara +YUKI 『echo』全曲レビュ ー」
第23回マイフェイバリットエモーショナルソング 10選」
第24回「和田唱(TRICERATOPS)『ALBUM.』から学ぶ笑顔の大切さ講座」
第25回「『ねぇ、できちゃった』のコーナー夏の特別編! 新曲「ひまわり」セルフライナーノーツ」
第26回「ニッポンの偉大なギター名盤10選」
第27回「夏とシティポップ」
第28回「初秋にこそ聴いて欲しい、サザンオールスターズ『真夏の果実』の魅力」
第29回「温かみ、手触りを感じる名作 Yuzukana 『ZUSHIKI』制作秘話!」
第30回「Mr.Children『Brand new planet』レビュー」
第31回「Mr.Children NEW ALBUM『SOUNDTRACKS』レビュー 〜人との出会いと音楽の化学反応〜」
第32回「TRICERATOPS トリビュート盤レビュー&ライブレポート!」
第33回「写真家・薮田修身 展覧会『THERE WILL BE NO MIRACLES HERE』レポート」
第34回「新企画!『YUMECO RECORDSのテーマソングを作ろう』始動!!」
第35回「YUKI『Baby it’s you』が示す、君と私の世界が愛と音楽に満ちている理由」
第36回「YUKI NEW ALBUM 『Terminal』レビュー」
第37回「ホタルライトヒルズバンドNEW ALBUM『SING A LONG』レビュー」
第38回「東京スカパラダイスオーケストラ 『TOUR2021 Togeter Again!』ツアーファイナルライブレポート」
第39回「新しいギターを買ったよ!」
第40回「音楽と食」
第41回「NEW SINGLE『花束』が出来るまで」
第42回「和田誠展で感じた普遍的な愛」
第43回「クリスマスソングの新たな名曲! Yuzukana『POST』ライナーノーツ」
第44回「YUMECO RECORDSのテーマソングを作ろう! デモ音源フル尺完成!!」
第45回「Official髭男dism「Pretender」から学ぶロマンス論」
第46回「YUMECO RECORDS テーマソング企画 Season 2 スタート!」