始まりましたGAL Radio。ここは友人とカフェでまったり過ごすよう、音楽の魅力についてお話する場所です。是非ゆっくりしていって下さい。
2021年が折り返しました。生きているだけでありがたく最&高なことなのですが、人生哀しいこともたくさんあって、どちらかというと能天気な僕ですら昨年から続くこの状況に季節的、気候的なことも相まってか、ちょっともやもやが増える日々です。
ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の台詞で『どっちか全部ってことはないでしょ? 楽しいまま不安、不安なまま楽しい』という言葉がとても印象に残っています。心を上手く描いた素敵な言葉ですよね(いい作品でしたね)そんな不安なまま楽しませてくれる瞬間を愛に溢れる男たちが運んできてくれました。
7月2日(金)東京スカパラダイスオーケストラ「TOUR2021Togeter Again!」のツアーファイナルを観に有明・東京ガーデンシアターへ。
ガーデンシアターオフィシャルサイト
https://www.bellesalle.co.jp/ariake_event-hall/
日本武道館を半分にして、座席の間隔を広くしたような新しい会場。椅子もメッシュで座り心地が良い(結構大事)8000名収容するアリーナクラスでありながら音響もとても良い素敵なホールです。ショッピングモールも併設されておりライブ前も退屈しません。
3月にリリースされた最新アルバム「SKA=ALMIGHTY」収録曲を中心に全21曲を披露。ライブ定番曲は勿論、最新曲がめちゃくちゃかっこいい!キャリアの長さを感じさせる成熟した演奏と、キャリアの長さを感じさせない結成したてのバンドのように初々しく音にまみれる様は何度見ても惚れ惚れします。
スカパラのライブを目の当たりにした方は重々ご存知かと思いますが、もうとにかく楽しい!踊りたくなるというより踊らずにはいられない、気付いたら踊っているほどに音が空間を支配しています。中止や延期、振替を余儀なくされた傷だらけの日程の中、素晴らしいパフォーマンスを届けてくれること自体にエネルギーを貰いましたし、「生きてる!!」って実感させてくれるパワーに満ち溢れていました。
ライブ中盤、スペシャルゲスト1人目の長谷川白紙さんが登場。
スカパラコラボというとお揃いのスーツを着て歌う印象ですが、白い衣装を身に纏った白紙さんはまるでPCの中の仮想現実から出てきたような特有な雰囲気を醸し出していました。ピアニカで「スキャラバン」をコラボ。生で動く白紙さんの目撃者としてその姿を目に焼き付けるように会場全体が白紙さんに釘付けになっていきます。
「会いたいね。゜(゜´ω`゜)゜。feat.長谷川白紙」では美しい歌声と間奏で凄まじいピアノソロを披露。その素晴らしさは年齢で測るものではないのですが、若干22歳ということにやはり驚きは隠せません。。新しい音と出会えた感動を外に出せないもどかしさが体内で乱反射しているのが細胞レベルで分かるほどゾクゾクする時間で終始、脳内麻薬ダラダラでございやした。
ライブ後半戦。谷中敦さんのMCで『コロナで自粛を余儀なくされる中、夜空を見上げたら真っ黒じゃなくてブルーだった。大切な友人を思い出す海の青さだったり、ブルースも哀しみを共有する音楽。ブルーにはそんなイメージがある』という強いメッセージと共に届けられた「倒れないドミノ」は音楽がもたらす力を信じる彼らの想いが込められている気がしました。間髪入れず「Prism」で一気にシリアスなムードへ。明るくユーモラスな人の本気ってズルいですよね。ぶっ刺さりまくりますもんね。そしてライブはクライマックスへと向かいます。
ライブ終盤、スペシャルゲスト2人目、桜井和寿さん登場。
有観客でのパフォーマンスはMr.Children2019年のドームツアー以来、実に約2年ぶり。この期間の全てを爆発させるように全身を使いステージを隅々まで動き回り「リボンfeat.桜井和寿」を披露。一人残らず心を鷲掴みにする笑顔から放たれる「哀しみはデタラメに塗り潰せ そのために来たんだ」というフレーズの、そのために来てくれた感たるや!!映画やドラマで人々が「もうダメかも…」って諦めかけたピンチに助けに来たヒーローのような救世主感がエグかったです。それでね、何がまたグッと来たかというと、イニシャル入りのオレンジの特注スーツの下にはブルーのシャツを着てるんですよ…!!(ニクいね!)
スカパラの傷だらけスケジュールのツアー Together Againファイナル。何度も言うけど、今日は完全に ‘’幸せよこんにちは‘’ しました。桜井くんは神!ステージ上で感動を禁じ得ませんでした。innocent worldもスカパラバージョンで披露、至福!長谷川白紙くんも素晴らし過ぎた、。Photo by @takeshiyao pic.twitter.com/K2zLfzfyLr
— 谷中敦 (@a_yanaka) July 2, 2021
「ここがパラダイス」という歌詞も今は虚しく聞こえてしまうかもしれないけれど、頭を傾げたくなるニュースばかり垂れ流される地獄のような辛い状況の中でも、捉え方次第でパラダイスに変え、勇気をくれる大人もいるんだなと思います。
アンコールで再び呼び戻された桜井さんが「早く聴いた方がいいよ」と呟き、谷中さんの「感動は驚きと共にやってくる!」という叫びから始まったMr.Children「innocent world」に会場は思わず大拍手。スカパラのタイム感(そのバンド特有のノリやグルーヴ感)と贅沢なブラスアレンジで桜井さんも幸せそうに歌います。いつもはオーディエンスが大合唱するサビもフルコーラス桜井さんが歌い上げてくれた(滅多にない!)声が出せない僕らへの最大のプレゼントでした。
スカパラの魅力!
それは一言で言うなら「愛」なのだと思います。
僕とスカパラとの出会いは24年前(干支2周…)TBSで放送していた伝説の番組「デカメロン」(竹中直人さんやビシバシステム、片桐はいりさんらがかなりシュールで奇妙なコントを繰り広げる)にスカパラも出演していて家族で見ていたのがきっかけでした。米米CLUBも僕のルーツなのですが、陽気でお洒落でどこかミステリアスという僕の中のかっこいい大人像を形成する大きな存在はスカパラも共通するものがあります。
兄が流す初期のアルバムに合わせて部屋で一緒に踊ったり、2008年のRISING SUN FESを見るべく出発した旅の初日に大金が入った財布を青森で落とし、絶望の末辿り着いた石狩の大地に昇る朝日と共に観たトリがスカパラだったり、今までライブを観て一番泣いたのが、25周年ツアー・恵比寿LIQUIDROOMで聴いた「チャンス」だったりと、どれも強く思い出に残る瞬間ばかりで、彼らからは沢山の愛と勇気を貰いました。(まさにアンパンマンのようなヒーロー)
先日、日本テレビ「スッキリ」でハリセンボン春菜さん、水卜アナの卒業を祝して行われたサプライズライブにスカパラも出演されていました。素晴らしい演奏披露後に水卜アナが号泣しながら仰っていた言葉が印象に残ったのでご紹介します。
「こういう愛がいっぱいの世界って凄い、そういうところに生きていきたいなと思いました。こんなに素敵な方達のいる世界は凄いなって。」
まさに今回のツアーファイナルもそんな思いにさせてくれる夜でした。
音楽は心を柔らかく、時に強くして僕らを励ましてくれます。嫌なことや辛いこと、思い通りに行かないことばかりで苦しいけれど、哀しみを内包したまま踊るからこそ、スカの底抜けな明るさは楽しく優しく切なく響きます。次のツアーも決定した彼ら。まだ体感されていない方も是非一度、愛に溢れる男たちの生き様をご覧頂きたいです!
彼らのように愛を届けられる、愛にあふれた世界を生きていきたい。
▼お知らせ
新曲「中央線に揺られて(inbound)」好評配信中!
楽曲配信URL https://www.tunecore.co.jp/artists/takahashikei
2nd Albumレコーディング中!!!
高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始、2016年活動休止。現在は演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けるスタイルでソロ活動中。楽曲はApple Music、Spotifyなどで配信中。レコーディングなどお仕事依頼はTwitterからお待ちしております。
Twitter:@zazamino
イラスト:matsun
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」
第17回「新曲発表のコーナー『ねぇ、できちゃった』完結編!」
第18回「YUKI『聞き間違い』から学ぶ “ きっと大丈夫 ” 講座」
第19回「何故私たちはクリスマスソングを作り、聴くのか」
第20回「TRICERATOPSから学ぶリフで踊ろう! 講座」
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」
第22回「3ヶ月連続企画! 第2弾「Chara +YUKI 『echo』全曲レビュ ー」
第23回マイフェイバリットエモーショナルソング 10選」
第24回「和田唱(TRICERATOPS)『ALBUM.』から学ぶ笑顔の大切さ講座」
第25回「『ねぇ、できちゃった』のコーナー夏の特別編! 新曲「ひまわり」セルフライナーノーツ」
第26回「ニッポンの偉大なギター名盤10選」
第27回「夏とシティポップ」
第28回「初秋にこそ聴いて欲しい、サザンオールスターズ『真夏の果実』の魅力」
第29回「温かみ、手触りを感じる名作 Yuzukana 『ZUSHIKI』制作秘話!」
第30回「Mr.Children『Brand new planet』レビュー」
第31回「Mr.Children NEW ALBUM『SOUNDTRACKS』レビュー 〜人との出会いと音楽の化学反応〜」
第32回「TRICERATOPS トリビュート盤レビュー&ライブレポート!」
第33回「写真家・薮田修身 展覧会『THERE WILL BE NO MIRACLES HERE』レポート」
第34回「新企画!『YUMECO RECORDSのテーマソングを作ろう』始動!!」
第35回「YUKI『Baby it’s you』が示す、君と私の世界が愛と音楽に満ちている理由」
第36回「YUKI NEW ALBUM 『Terminal』レビュー」
第37回「ホタルライトヒルズバンドNEW ALBUM『SING A LONG』レビュー」