9月に入り、まだまだ暑い日は続いていますが、少しづつ空気が変わってきたことを肌で感じています。こうして時間は脈々と流れて、また季節が変わっていくんですね。


先日は、家入レオさんのストリーミングライブを観ました。どんなライブになるのか、楽しみでしかたがなかったけれど、想像を遥かに超えた圧巻のステージ! 素晴らしかった。レオちゃんはやっぱりライブが似合うアーティストだと確信しました。まっすぐに前をみつめて、カメラ越しの私たちファンへ歌を届けようとするレオちゃんの瞳の美しさとその心意気。そして、信頼してやまない最高のバンドメンバーと生み出される彩り豊かな音のシャワー。今まで、新しい自分になりたいと外にベクトルを向けていたことを振り返り、この自粛中は、原点回帰で、自分自身に“ひとりぼっちになる勇気”をプレゼントしたという言葉に心を揺さぶられました。レオちゃんの限りないパワーと美しくたおやかな姿に魅了された時間でした。


そして、今日は、本日9月4日公開の映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』を観てきました。ファンタジーとリアリティのはざまで、主人公・つばめを演じる清原果耶さんが見せる表情には目が離せなかった。多感な年ごろ、複雑な心のうちを見事に表現している。これは演技なのか天性のものなのか、時折はっとさせられる清原さんの聡明さ。もしかしたら、すごい女優さんかもしれない。

 
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●STORY
お隣の大学生・亨(伊藤健太郎)に恋する14歳の少女・つばめ。優しく支えてくれる父(吉岡秀隆)と、明るく包み込んでくれる育ての母(坂井真紀)。もうすぐ2人の間に赤ちゃんが生まれるのだ。幸せそうな両親の姿はつばめの心をチクチクと刺していた。しかも、学校は元カレの笹川(醍醐虎汰朗)との悪い噂でもちきりで、なんだか居心地が悪い。つばめは書道教室の屋上でひとり過ごす時間が好きだった。ところがある夜、唯一の憩いの場に闖入(ちんにゅう)者が――。空を見上げたつばめの目に飛び込んできたのは、星空を舞う老婆の姿!? 派手な装いの老婆・星ばあ(桃井かおり)はキックボードを乗り回しながら、「年くったらなんだってできるようになるんだ――」とはしゃいでいる。最初は自由気ままな星ばあが苦手だったのに、つばめはいつしか悩みを打ち明けるようになっていた。(公式HPより)


 
 

最初は、つばめと星ばあとの出会いのシーンや星ばあの遠慮のないズケズケとした物言いに、私もつばめ同様、戸惑ってしまったというのが正直な感想。中学生のつばめに、そんな言い方する? とか、このシーン必要? などと、心のなかで思わずつっこみたくなるシーンもあったのだけれど(笑)、気がつくと、いつの間にか星ばあのペースに惹き込まれていました。思い悩むつばめに星ばあがかける言葉は、観ている私たちにとっても、めまぐるしく過ぎる日々にふと立ち止まるきっかけを与えてくれるメッセージだったように思う。


この日、生配信されていた藤井道人監督、清原果耶さん、伊藤健太郎さんが登壇した東京での舞台挨拶に、桃井かおりさんが現在お住まいのアメリカ・ロサンゼルスからビデオメッセージを寄せられていた。劇中、星ばあが「年をくったらなんだってできるようになるんだ」と言っていたが、それは本当のことだと、ご自身も50歳の誕生日に逆上がりができるようになったと語られていた。若いころずっとできなかったことが、日々経験を積むだけでできるようになる。大人になる(年をとる)ということは小洒落たことになるんだと。だからこそ、「しぶとく生きましょう」と。星ばあもパワフルだったが、バイタリティーに満ちた桃井かおりさんの言葉には改めてとてつもないパワーを感じた。藤井監督とアイデアを出し合い作品を作り上げる桃井さんの姿に感銘を受けたという清原さん。18歳の現在を、大人と子どものはざまにいると表現し、しっかり日々を過ごして豊かな大人に近づいていきたいと語った。桃井さんから、この場の盛り上げ役を命じられた伊藤さんは、実は、21歳の誕生日に大人になることを諦めたと告白。でも今日を機にもう一度大人を目指すと言って場を和ませていた。


物語が深まるごとに、つばめの抱えている悩みや星ばあの秘密が一つひとつ扉が開いていくように解明されていく。私が、なかでもぐっときたのは、つばめと吉岡さん演じる父とのシーンだった。吉岡さんの、怒りも悲しみもすべて優しさで内包する演技には、かなわないといつも思う。育ての母の想いを聞かされて、つばめが言った「ママ、やるなぁ」。つばめの、何とも言えない嬉しさが込められた、この短い言葉に涙が出た。また、登場するたびに爽やかな風が吹き抜けるような、伊藤さんが丁寧に演じた亨や元カレ・醍醐さんとのファミレスのシーンも、何ともリアリティがあって大好きだ。見終わったあとに、好きなシーンが次々に浮かんでくる。そして、エンドロールには、清原さんが歌う『今とあの頃の僕ら』。大好きだというCoccoさん作詩・作曲・プロデュースによる楽曲で、透明感のある美しい歌声に心が洗われるような気がした。また、藤井監督が撮られた、5年後のつばめを描いたMVも必見だ。宝物のような日々だったというこの作品を経て、次はどんな表情を見せてくれるのだろうか。大人と子どものはざまでくるくると変わる清原さんの魅力的な表情をこれからも追いかけていきたいと思う。

 
 

 
 

 
 
 


 
プロフィール用写真shino muramoto●京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。先日行われたKing Gnu初のストリーミングライブ。最初は、4人向かい合っての立ち位置や曲が終わって言う「サンキュー」が、すべってるみたいでなんだかはずかしいと戸惑っていた井口くんだったけれど、中盤以降はさすがのステージ! 『CEREMONY』からの楽曲も、4人の、まるで楽屋にいるようなトークも最高でした。