はい、そんな訳で!始まりました〜Gal Radio。令和元年5月の進行スピードの速さに驚愕しながら書いています。ここはラジオを聴くように、友人とカフェで会話するように音楽についてお話していけたらという場所でございます。
皆さん、雨はお好きですか?雨というと小さい頃から楽しみにしていた運動会は中止になるわ、急な雨だと服も濡れるわ、靴は汚れるわ、靴下もくっちょんくっちょんするわ、洗濯物は乾かないわ、いいことないわ、令和。足元もギャグも滑ってどんよりした気持ちになることもしばしば。しかし空から水が降ってくるというなんとも神秘的なこの現象、好きだったりもします。夜中に家の中で聴く雨音はなんだか産まれる前の胎内にいるみたいな感覚になるし、人間の記憶にも雨は強い印象を与えるそうです。日本の6月は梅雨の季節ということで雨をテーマにした名曲の中から風情を感じるポイントをご紹介していきます! 一緒に濡れましょう♡
1.Rainy Blue / 徳永英明
(1986年1月21日発売 1st Single)
イントロのやさしく響くエレキピアノのフレーズが印象的。〈かけ慣れたダイヤル回しかけて〉というダイヤル式公衆電話BOXで電話番号を覚えているという点に当時の恋愛の距離感を感じます。
完璧なメロディーと演奏がサビで花開くように盛り上がっていきます。ラスト大サビではベース、ドラムのうねるような演奏に引っ張られるようボーカルも高ぶります。そのままアウトロの静寂へ、ヒュンと変わっていく展開は静かな雨が次第に土砂降りへと変わり雨雲が去り弱まっていくような、通り過ぎていく雨と終わりを告げる恋愛、それに揺れる心を重ねた見事な演出だと思います。この名曲がデビュー曲という凄さ!
編曲はFNS歌謡祭や生演奏にこだわった音楽性の高いフジテレビ系列音楽番組『僕らの音楽』、松任谷由実さんのライブ音楽監督も務められる音楽プロデューサー・武部聡志さん。当時を感じさせるMVも必見です。
2.悲しみの傘 / ゆず
(1999年10月14日発売(←メンバー岩沢厚治さんの誕生日)2nd Full Album「ゆずえん」収録)
ゆずさん初期の名曲。主人公と恋人の関係性の機微が傘をテーマに描かれています。スローテンポな3拍子は好きな人がいなくなりゆったりと流れていく退屈な寂しい時間で、そこで感じる『君が去った今は一人で使うにはこの傘は少し大きすぎるから』というフレーズ、君がいた空間がぽっかりと空いてしまい大きく感じてしまう傘を見て「いないことから存在を知る」切なさ!
後に同じ所属レコード会社の後輩でありゆずのファンとしても知られるSEKAI NO OWARIさんとコラボレーションしたバージョンも制作されライブで演奏されることは少ないですがファンの中でも印象に残る一曲です。
この曲で使われているリズムマシンの名機、Roaland TR-808(通称ヤオヤ)と思われる音色が大切な人を失った喪失感と無機質な日常、それでも続く鼓動と雨のように打ち続けます。ヤオヤは最近だとピコ太郎さんの「PPAP」でも使用されており生ドラムほど重たくならずポップな印象をもたらしてくれます。
3.Rain / 大江千里
(1988年7月21日発売 7th Album「1234」収録)
凄腕ミュージシャンが多数参加されているアルバム。日本語での心象、情景描写が美しく、この時代特有の都会的なイメージを前面に出したシティーポップなサウンドは今聴いても新鮮で、大江さんのセンスを存分に堪能出来ます。
人気音楽番組、テレビ朝日系列『関ジャム 完全熱SHOW』でも音楽プロデューサー・蔦谷好位置さんが絶賛する曲として取り上げられていましたが、この曲の特徴の一つが「転調」です。切ない響きから始まり、心の中に一瞬光が射すような明るいコードへと展開、サビでまた切なさに戻る構成は主人公の女々しさ、能天気さみたいでどこか憎めません。
槇原敬之さん、アイドルネッサンスさんなど多くのミュージシャンがカバーしており、中でも新海誠さん監督の映画「言の葉の庭」の主題歌として起用されている秦基博さんのカバーが秀逸です。編曲を担当しているのは椎名林檎さん、Salyuさん、YUKIさんのライブサポートメンバーなどでも活動されているキーボーディスト・皆川真人さん。新時代のシティーポップと形容出来るようなクリアーで立体的な音を楽しめます。
特にエレキギターの響きが雨の日の湿った空気感や地面に当たり跳ねる雨粒を表しているようで、、、そう、このギター、私が敬愛してやまないギタリスト・名越由貴夫さんなんです!! ギターソロ終わりのトリル(指を高速で動かし音を細かく刻むようなプレー)は切なさが爆発します。
●その他のオススメ雨ソングプレイリスト
はじまりはいつも雨 / ASKA
雨 / ペトロールズ
雨にキッスの花束を / 今井美樹
雨のdubism / EGO-RAPINN
雨天決行 / 東京事変
雨上がりの夜空に / RCサクセション
雨のゲシュタルト崩壊や〜!
●まとめ
どの曲も透き通る歌詞の世界観と楽器の音色で雨を表現し心に潤いを与えてくれます。人間の体の3分の2が水分で出来ているからか雨と共鳴する何かがあるのでしょう。雨を歌った曲は沢山あります。次の雨の日は是非、傘とお気に入りの雨ソングを持って出かけてみては。ラジオでしたらお別れのナンバーは「Singing In The Rain」(Gene Kelly)をお届けしたいのですが、本日はこの辺で!
「ねぇ、できちゃった」のコーナー
今回の雨の日特集にちなんで「わたしはあめ」という曲を持ってきました。通称「わたあめ」。2013年good sleepsで書いた曲をリアレンジしました。作詞はボーカルのmika。雨の日の恋愛の繊細な心の揺れが女性目線で描かれております。今回もアートワークを担当して頂いているイラストレーターumezawawaさんと自身初のMusic Videoを現在製作中です。そちらもお楽しみに。是非お聴き下さい!
I am Rain
2019.06.09
Words : mika (good sleeps)
Music & All Instruments,Programming by Kei Takahashi
Character & Art Design:umezawawa
わたしはあめ
少し切った毛先に未練なんて残しちゃって
あなたの頬に落ちた睫毛を
なんてことない 願いをかけよう
どんなことがあっても秘密にしてね
今夜はちょっと 荒れるみたい
傘がないと肩が濡れてしまうわ
グッと引き寄せて ひとつになっていよう
体中に染み込んでいくよ みんなが嫌いな雨が好き
濡れて 揺れて 触れて 確かめていよう
カラフルに踊るわ 虹の上 滑らないように気をつけてね
わたしのあめは甘くて苦い
水たまりにあなたとふたり 泳いだらいつか海に着くかな
探し 歩く そっと 見つからぬように
誰も知らない 虹の上 一番最初に見にゆこう
わたしのあめは希望を降らしている
体中に染み込んでいくよ みんなが嫌いな雨が好き
濡れて 揺れて 触れて 確かめていよう
カラフルに踊るわ 虹の上 滑らないように気をつけてね
わたしのあめは甘くて苦い
わたしはあめ 希望を降らしている
高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」