はじめに。震災、水害で大変な思いをされている方もいらっしゃるかと思います。
今は大変なことがたくさんあるかと思いますが、
気が向いたら好きな音楽を聴いて少しでも笑顔になってくれたらと心から願います。
連載開始後、沢山のご感想を頂戴しました。ありがとうございます。
皆さんが共感してくれたり面白いと言ってくださるポイントもそれぞれで、
音楽同様、読み手の方の数だけ印象が違う楽しさを提供できる文章を書いていきたいと思います。
「ギターは出会いだ。自分にとって最高のギターとの出会いは偶然の積み重ねであり、それはまるで人生のようである。」
「ギタリストは皆ギターに恋している。僕も例外なくその奴隷のひとりだ。」
シェイクスピアが言ったかもしれない名言っぽいけど彼はそんなこと一度も言ってません。多分。
ギタリストの端くれとして、まずはこの楽器について触れない訳にはいかないのであります。
ギターという楽器の素晴らしさをお伝えしようと考えた時、様々なワードが浮かぶ。
エレキとアコギ、Martin、Fender、Gibson、クラシック、フラメンコ、セミアコ、フルアコ、アンプ、シールド、ピック、エフェクター、Fコード抑えるところで挫折する、M7の響きが好き、12弦、テレキャス、ストラト、レスポール、SG、ジャズマスター、ジャガー、横田。。。
最後のが言いたくて長いフリに使ってしまいましたが、、
今回はギターのこんなところが好きですと言う気持ちをお話します。
読み終えた時ギターに耳を傾けて色んな曲を聴いてもらえたら。
「譜面に起こせない音」
音楽は感情や内面の動きを表現する感覚的なものという印象が強いと思いますが、
数学的な部分も多く、数字や理論が重要だったりします。
そもそも僕は楽譜が読めないミュージシャンなのですが、コード譜、TAB譜しか読めなくとも弾ける楽器ということも音楽不勉強な僕には身近に感じた。
ギターはいわゆるギュインギュインした歪んだ音や、倍音というある音程を鳴らした時にその周辺で鳴っている音、(天ぷらでいうと衣のような音)が多く含まれているらしく、言語化、譜面に起こせない音という存在が愛おしく思えてなりません。
新品の弦に張り替えたばかりの時、コード(和音)を抑える指を動かす時の「キュイッ 」というポジションチェンジ音もなんか心地いい。
「弾き語り」
ひとりでどこでも歌が歌えるからカラオケはあまり行きません。でも行けば楽しいです。
カラオケは友人と行くと知らない海外の曲や流れる映像に即興で歌詞を当てていくのを4時間くらいやります。
ひとりカラオケツールを得た僕は毎晩のようにギターを何時間も弾いては歌い、兄や母親に何度も怒鳴られた記憶があります。
あの時はごめんなさい。でも毎晩指が痛くなろうが何しようが時間を忘れひたすら弾いていた。没頭する時間も、時にはいいですよね。
僕にとっては歌う為の楽器がギター。
「その形状に惚れる」
楽器はどこかセクシーさがあり、特にギターは女性の身体のくびれのようなシェイプをしている。みんながみんなそうでは無いですが、ギタリストはギターを何本も欲しがる病気にかかります。興味がない方からすると「どれも同じでしょ?」と言いたくなるだろう。
その気持ちも物凄く理解できます。
が、but、しかし、however、欲しくなっちゃうんです。
ギターという名の様々な女性を弾いてみたくなるものなのです(擬人化)愚かですね(笑)。
ギターを弾く姿は
侍が刀を持つように
シェフがまな板の上で包丁を捌くように
レーサーがコーナリングでハンドルを切るように
サッカー選手の足にボールが吸い付いているドリブルのように
その姿そのものがかっこいい。
その「憧れ」は弾き始めた瞬間から今でもずっとある。
僕はギターと出会ってから人生が変わりました。
今回のタイトルからも分かる通り未だにダサいままだ。
それでもダサいまま、かっこ悪いまま夢を見させてくれる。
そんな魔法がギター、音楽にはあります。
ギターに触れている時間、いい音を奏でたいとたくさん触れるほど彼らはそれに応えてくれます。
ずっといい音を出してもらえるのを待っているかのよう。
ギターに触れたことのない、触れてみたい、既に触れているそこの少年、少女!
是非そのまま思いを歌にしよう!
ギターはその思いを一番近くで鳴らしてくれるはず。そんな相棒。以上、杉下右京でした。だけに。
■オススメしたい!! のコーナー
【超個人的かつ偏りがある3大ギタリスト(敬省略)】
ギターの腕はまだまだな僕が憧れる、素晴らしいギターを演奏する日本の3名の魅力をお伝えします。
皆さんとってのギターヒーローも是非知りたいです。
田原健一(Mr.Children)
早弾きや難しさを追い求めるテクニックではなく(これも勿論大事ですが)、
楽曲の中でどう響かせたらその曲が聴く人の心に届くのか、その為のフレーズや演奏が物凄い。
とにかく心を込めて演奏しているのが伝わるのは、彼のプレーをコピーしてみると分かる。独特なうねりや弾き方があり、こだわり抜いた音色と弾き方により、同じような音は出ても同じ音は出せない。
誤解を恐れず、少し恐れてお伝えするのなら愛のあるSEXとでもいいましょうか。
テクニックだけで愛のないそれ。。。ありますよね(笑)?
でも田原さんのギターから出る音は曲という名の体の一部なんです。そこにその音が存在していることが必然のような鳴り方とでもいいましょうか。
分かりやすい極彩色で派手な豪華コース料理ではなく、
その季節ごとの旬の栄養価の高い、厳選された素材と手間隙かけ下ごしらえを施した、
胃袋だけでなく心やその時間を豊かなものにしてくれるお出汁の効いたお料理のような。
露出度の高いあからさまなエロではなく、奥ゆかしいエロというか、、お伝えすればするほど分からなくなりそうなのでこのあたりで。。。
Mr.Children 10th Single「名もなき詩」(1996年2月5日発売)
イントロのGコードたったワンストロークの一発でやられる。
青いテレキャスが印象的。
名越 由貴夫
ファンの間では人間国宝とも言われる神々しい存在。改造された機材、絶妙かつ繊細なピッキングニュアンス、そしてあのロングヘアー。バイオリンの弓を使用した奏法や他のギタリストが思い浮かばない印象的なフレーズはJ-POPの名曲の数々に輝きを与えている。
エフェクターと呼ばれるいわゆる”足元”で音色をギュンギュンにしたりホワホワ、ワンワンする機材は氏を物凄い参考にしています。
コーパスグラインダーズで鳴らす轟音からSalyu,Chara,YUKI,Superflyなどの女性ボーカルを引き立たせる繊細なフレーズまでの振り幅。この方が参加するライブはギターを弾く手元を観に行っていると言っても過言ではございません。
YUKIさんが「ランデヴー」でMステに出演した際のアドリブソロは
流星群を見ているような、身体中の細胞が宇宙と交信するかのような感覚に陥った。
曲に味の素のような旨味成分をふりかける魔法の音。プロデューサー、小林武史氏、蔦谷好位置氏の楽曲にも多く参加しており、確実に僕の耳を育ててくれたギター。
聴く度に耳が喜んでます。本当にありがとうございます(笑)。
Salyu「Dramatic Irony」2005年6月15日発売 1stアルバム「landmark」収録
↑このライブのメンバーがこれまた凄いんですよ!! 長くなるので是非興味がある方はお調べください。。
和田 唱(TRICERATOPS)
No.1マイギターヒーロー。日本では少ないリフで曲を作るスペシャリスト。
コードの少ない繰り返しで展開させていくテクニックとセンスは唯一無二です。
洋楽マニア、マイケル、ビートルズフリークとしても有名ですが、
単調になりがちなリフ曲でもディズニーやカーペンターズ、バートバカラックなどの
ルーツから生まれるメロディアスでドラマチックで切ないスウィートな響きも含んだ曲は
ロック好きな男から女性まで虜にします。
ギタリストとは違った、ボーカリストの弾く歌心のあるソロというのも聴く楽しみの一つ。
イントロのマシンガンのようなリフは勿論、歌いながら弾くギターもソロのフレーズどれをとってもロック好きにはたまらないプレイは是非ライブでご覧頂きたい。
TRICERATOPS 6thシングル「Fever」(1998年11月21日発売)
こんなバージョンもあります。
この文章が届く頃は夏も始まっているでしょうか。
皆さん熱中症にはお気をつけて、素敵な夏を満喫しましょう。
水分補給には是非ジンジャエールを。
高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/