連載◆栗原ゆう「さよならシークレットブーツ」第4回「4人の野良」

 
 
野良猫って、群れる事なくふらっと集まって、にゃ〜にゃ〜してまた個々の場所へ帰っていく。個々に個性が強くて、何かに頼ることなく自分でご飯を食べていかないといけない強さがまずあって、一つ間違えたらきゃんきゃん対立が始まったり縄張りに入らないで…という争いにもなりかねない。ただ団結した時の勢いはすごい。
 
 

 
 
先日、「野良会」というイベントを開催した。 珠麟、吉河順央、結城リナ、栗原ゆうの野良(フリー)4人が主催し、東名阪を回るツアー。
「WONDER WORLD」で偶然知り合った4人…たまたま順央ちゃんと「事務所は何処ですか…？」と話していて「野良（フリー）です」と答えた順央ちゃんに、超絶クールビューティーがすかさず「私も野良です」と返した、それが珠麟ちゃん。フリーってなんか小っ恥ずかしいし、という理由でさらりと「野良」を命名してその集まりを「野良会」と定着させた順央ちゃん。ネーミングセンスの天才（色々天才なんだけど）!!!! 結城リナは、ふと気づいたら「野良会」に自然と溶け込み混ざっていた（笑）。結城リナの才能！
そんな4人がずれにずれ込んだ新年会で生牡蠣を食べながら「名古屋ってあんまりライブで行ったことないな〜」「あっ、じゃあ野良会東名阪…ツアーとか回っちゃう？」とそこからぬるっと始まっていった。趣味も音楽も思考も全てがバラバラな4人が出会ったのも奇跡だけど、今思えば開催出来た事は更に奇跡…!
 
 

 
 
5月1日、名古屋「CLUB ROCK’N’ROLL」からスタート。個人的には、3年前初めて名古屋でライブをした場所。
珠麟ちゃんは地元でもある名古屋での初LIVE、みんな名古屋でのLIVEは数回だったのでビビっていた。今回は、野良コラボもありだったのだがこの日のリハで初めて合わせた。あえてMC等も綿密に決めたりせず、その時の空気でいこう…と！ バラバラな4人は“自分の役割（得意な部分）”というのを自然と把握しているし個々に言わずとも信頼があった。なんなんだろう…バンドでもユニットでもないのに、余計なことは言わないでふわっと意思疎通されている感じ…不思議な空気感がいつもある。
名古屋は、コラボからはじまり個々のLIVEもあり、またコラボで終わった。終わりにかけて、めちゃくちゃエモみ溢れる熱気で、ロックフェスか？ という感じがした！ 最高に盛り上がって、次大阪はもう…もう…どうなるんだ…というわくわくが凄かった。ここで、結城リナがMIX（※アイドルの曲中のコール）を覚え、「タイガー…ファイヤー…」というコールを何故か「サイパン？」聞き間違え、謎のサイパンMIXが誕生した!
 
 

 
 
2日から皆で、大阪のゲストハウスに泊まり二段ベットで生活をした。なんだか、修学旅行を思い出した。私は、学生の時の学校行事は全て参加していたしきっとスクールカースト高め（まあまあなギャル）な感じだったけど、とにかく群れるのが嫌いだったからそこのバランスはとれず（とらず）皆でUNOしよう〜! とかなったら、面白くなさそう〜！ と部屋を抜け出したりふらふらしていた。体育祭の時も応援団に入っていて、とにかくダサいのはゴメンだ…！ ということから衣装担当をし、練習にはあまり参加せず（というか週の半分は昼から学校に行ってた…）良く卒業させてくれたよ、担任のおかげ…ありがとう青木！）というなんか きっと今思えば全てちぐはぐでバランスが取れていなかったのかもしれない。
話は、ずれたけど野良4人も集団行動はあまり…だからこその面白みがあった。珠麟ちゃんはいつ見ても綺麗（どうゆうこと？笑） だし、結城リナはムードメーカー（ちょろちょろしていた）、順央ちゃんはひたすらチェキを製造している（ブイーンって音がリズミカルだった）。
お互いに干渉せず、あんまり大人になって共同生活（たかが2日間だけど）ってする機会がないから超貴重だったし、なんだか明日が来たら終わっちゃうのか…という淋しさと興奮で3日間で8時間くらいしか眠っていない気がする（笑）。
終わりに向かって生きてて、終わりがあるから楽しいのに…、矛盾。
 
 

 
 
5月3日大阪「北堀江vijon」。
大阪も超超超盛り上がり…! 最高潮の祭り過ぎて、最後集合写真を忘れてしまった…!! 泣ける程に楽しい事って人生でどれ位あるんだろうか…ちょっと言葉では表せないというか、野良の4人の生き様が詰まってて…とライターの田辺ユウキさんが絶賛してくれてた。一人の個の強さ…魂がぎゅっと集められた感じ。ドラゴンボールみたいに…けど後もう少し足りない…それを東京で爆発させる予兆というか…。
 
5月15日東京ファイナル渋谷Glad。
この日は、二部制！ 一部は、野良が気になる方をお呼びして…の「野良フェス」。二部は、4人の総集編「野良会」。
一部の野良フェスは唯一無二ワールドの「YANAKIKU」さん、東京初ライブとなる「宗教法人マラヤ」さんが出演してくれて圧巻の最強ライブだった! 二組ともブレない一つの筋が通っている感じ！ 超好き過ぎてヤバい…!!!!
珠麟、結城リナは東京のみのバンドセット！ やっぱかっこいいなぁ…。一部の最後は、バンドバージョン「Weekend」を野良の皆で歌った。 終わりたくないを象徴するかのようなアウトロが永遠に続いた!（続きすぎた）
 
 

 
 
二部は、もうツアーの総集編というかお祭りだった!!!!
夏の終わりみたい…。
お客さんからのサプライズもあり（すなおちゃんファンありがたい…）想像を超える予想外の展開にエモみが増した。
名古屋、大阪、東京と回ってきてどの場所も共通してすごいのが、お客さんが推しだけを観る…！ という事がなかった。
皆が全てを楽しみたい…という想いがぎゅんぎゅん伝わったし楽しんでくれていた。
それが「野良会」をやって良かったと思えた全て。
バンドでもないユニットでもない4人が集って、きっと何処でもフィットする4人だけど、何か違うむずむず…とこだわりと疑問を持って…交わることにあまり興味がないというか…。ギリギリのもう少しで交わらなかったかもしれない四角形の角が綺麗にハマった感じ。
その中に皆（お客さん）が居たのかな。
ドラゴンボールはそんなすぐに見つからなくて超探して戦ってやっとみつけて、かと思えばふとしたところに転がっていたり全部見つけてしまったらバーーーンと最強になって爆発して終わってしまって。
全部はまだ見つけたくなかったけど、見つけてしまったかもしれない。
また、新たなドラゴンボールを見つけないと…！
あれは夢だったのかなぁ…とふわふわしたりする。4人のちょっと（だいぶ）特殊な個性が4人が集まった事により覚醒された感じ。
このツアーで珠麟（おしゅ）が裸足で歌う姿とクールと笑顔のギャップが沢山観れたのがすごく良かった！
結城リナはいつも、「弾き語りだから…」とか「ホームが…」とか言ってて「そんなの関係ないよ…」って言っても「自分で感じないと、納得出来ない…」っていう気持ちがあるからこそ、野良会で何か一つ殻を破けた感じがして、それがこのツアーを回れて良かったなと思えた一つ。
「ホームとかそんなの関係ないかもな…？」って感じで結城リナを魅せていてグッときた。
順央ちゃんは全てにおいて的確で冷静に全てを捉えているからこそ、最後にうるっと泣いてたのがなんかもうめちゃくちゃ印象的だった。
ふいにぽろっと出てしまう感情は超貴重だし、最高の瞬間を見れた!!!!
私はぶっ飛んだ才能はないけど、この3人の天才が居たことによって自分の居場所を見つけられた気が…している。
珠麟、吉河順央、結城リナ…3人の天才と最強の3日間を作れて出来てほんとに良かった!!!!
見えないところで何かが繋がっている気がしてる。
ギッリギリの糸で。
てか、そこだけで十分。私だけかはわからないけど、きっとこの想いは口には出さないけど4人が同じ想いだと思うな。この4人で4人だからこそ出来た「野良会」は4人と来てくれた皆の記憶と心にこびりついてるはず…！
月に一度集まろうね〜！ とか言う約束はないけど、ふら〜っとまた集まれたらいいな〜。野良だから嗅覚が研ぎ澄まされたその時に、きっと、ぎゅっと、いつか…。
野良猫は自分を守る為に虚勢をはったり強がったりするし、近づき過ぎたら離れてしまうけど、ほんとは寂しがり屋な生き物だったりするから。