連載◆藤本浩史（the coopeez）「ユメ子の冒険記 feat.ゲンちゃん」第4回「鯉のぼり」

 
 
今やっているバンド、the coopeezという僕の生き甲斐。
 
今まで作って来た曲にこもっている念やエネルギーはいったいどこから生まれたものなのか。
それを知る為に過去を遡って見えて来たのは、少年時代の自分でした。
 
当時体の弱かった自分は、風邪を引くと喘息を併発しては家でよく寝ていました。
数日間学校を休んでは取り残された気持ちになったり、家族が出かける時に一人家に残されたり。
 
その上、力も弱く色も白い。
弱肉強食という極めて動物的な秩序が色濃く出る子供の時代で、僕は完全に弱者でした。
強くたくましいものに対するコンプレックスは、この頃から宿りだしたのではないかと思っています。
 
あと、今も絶賛進行形のアトピーという病気。
絶対に命は奪わないけれど、常に小さな苦しみを味わい続けるスーパープチ地獄。
誰も何も得しないこの病気に、精神を追い込まれた人は死ぬ程いるでしょう。
 
そんな病気達によって自然と何かをじっとぐっと耐え忍ぶ事を、気が付けば学んでいたのかも知れません。
そんなコンプレックスのおかげで、少し性格はねじ曲がってしまったのだけれど、今はそれらが自分にとって最強の武器になりつつもあるというのが何とも不思議なもんです。
 
何が自分にとっての武器になるかわからない人生、きっと無駄な事など何一つないのだろうと、頭でなく心でわかって来た気がします。
 
過去の苦しみを武器に闘い方を覚えた今。
まだまだ止めるわけにはいきません。