ここ最近、シンガーや、バンドのヴォーカリストが「弾き語りライヴ」をしに身軽に全国をまわっていることが増えてきているように感じます。それはきっと、昨年の東日本大震災以降の、ライヴ自粛&節電モードの影響だったり、バンド全体で動くのは難しくても単体でフットワーク軽く動くことで、目の前にいる人に歌を届けることができる、その喜びを感じることが出来る、というメリットからきているものではないでしょうか。そして、そんな中で、例えば別のバンドのヴォーカリスト同士が一緒に旅をして歌を唄ったりすることも、よくあるみたい。中には意外な組み合わせも!? というわけで「YUMECO RECORDS」では、歌を唄う友達、にクローズアップする連載をスタートさせます。歌い手たちは普段、どんなことを話しながら、どんな歌を一緒に唄っているのでしょうか。しかも、友達が友達を紹介する、という形でこの連載を繋げて行きたいなと思っています。今や「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングさえ、「友達の輪!」を止めてしまったわけですが、「うたうともだち」はガチ!で行きたい(笑)。というわけで記念すべき第一回目は、私の友達でもあるNo Regret Lifeの小田和奏氏にご登場いただき、「うたうともだち」を紹介してくれました。アナログフィッシュの、佐々木健太郎氏です!(文=上野三樹/撮影=平沼久奈)
なんかこの組み合わせ、意外じゃないですか!?
というのもこの二人、今年の二月に弾き語りツアーを数カ所一緒にまわった仲だそうで。
今回はリハスタで唄っている様子を見せてもらうことにしました。
ちなみに弾き語りツアーの時は二人はどこでリハしてたの?って和奏くんに聞いたら
「俺たちリハしたことねー(笑)」って言ってました。そ、そんなものなの!?
というわけで、4月の某日、都内のある小さなスタジオに集まってもらいました。
「久しぶり~」なんて挨拶もそこそこに、早速、和奏くんに、自分のアコギのネックのそり具合をチェックしてもらう佐々木さん。
ギターのケアの仕方などを熱心に聞いて、アドバイスをもらっています。
佐々木さんは普段はベース・ヴォーカルですもんね。アコギを弾き語る姿、新鮮です。
そしてギターをかき鳴らしているうちに、何となく二人の歌は始まるのです。
まずは THE HIGH-LOWS「日曜日よりの使者」。
冒頭、佐々木さんが思いっきりコブシを回しながら唄い、二人でハモるサビは朗らかに。
そしてエレファントカシマシ「四月の風」ではメッセージとメロディを噛み締めるように声を重ねていく、その想いがリンクする。
実際に自分たちが好きで聴いてきた曲が、二人のレパートリー。
伸びやかな佐々木さんの声に、ハスキーな和奏くんの声が重なって、絶妙なハーモニーです。
小田「健ちゃんと弾き語りを回ってる時にツイッターで『もっと旅まわりたいな』ってつぶやいたら、セカイイチの慧が『俺も行くぜ!』って返してきて。その後、LOST IN TIMEの海北が『呼びましたか?』って(笑)。そんな二人は岩海苔ってユニットで弾き語りしてて。あの二人に負けんようにせないかんなあ、と思ってたら誰かが『和奏も健太郎とユニットを組めばいい』って言い出して。それで公募したら和奏の奏と健太郎の郎で『奏郎』って名前になって。その間、健ちゃんはほとんどツイッターを見ないまま松山に着いて『奏郎ってユニットになったよ』『ええーっ!?』ってびっくりしてたよね」
佐々木「奏郎・・・字面はいいんだけどね(苦笑)」
岩海苔は奏郎のライバル・ユニットのようです。
小田「アナログフィッシュとノーリグって、そんなに一緒にライヴをやった回数とかって少ないんだけど。ていうよりも、健ちゃんとは共通の友達も多くて、下北でよく飲んだりしてたから、個人的な繋がりの方が強くて。そこでエレカシの話したりとか、同じ歳だから聴いてきた音楽とかも似てたしてね。だから一緒に旅をまわってた時も『あの曲知ってる?』『知ってる!ちょっとコード起こしてみよっか』みたいな感じで、いつもやる曲を決めてたんだよね」
佐々木「うん、やっぱり通ってきた音楽がかぶるところが多くて。たまたまラジオからエレカシの『ココロに花を』が流れてきて、そしたら和奏くんが〈俺は『ココロに花を〉を3枚持ってる〉って話をしてて(笑)。そういうところもなんか、すごくよくわかるし。旅を通じて、和奏くんの〈毎日のようにライヴをやって歌を唄うんだ〉っていう心意気とか、やっぱりすごいなって思った」
小田「健ちゃんと一緒にまわったの、めっちゃ楽しかったな。
岡山で健ちゃんと合流して、高松でバイバイするまで、ほとんどずっと一緒にいたもんね」
佐々木「うどん食べたりしてね(笑)」
やがて聴こえてきたのはOASISの「Don’t Look Back in Anger」。
途中でリードギターを弾きあったり、1コーラスごとにメイン・ヴォーカルを交代したりしながら、顔を見合わせてニヤリとしたり。
歌が好きで、歌を大事に紡ぎながら、やっぱりとても楽しそうでした。
友達と歌が唄えたら、どんなに楽しいんだろう。
それは今後も、この連載のテーマになっていきます。
小田和奏さん、佐々木健太郎さん、どうもありがとうございました。
さて、次は佐々木さんがご紹介してくれた「うたうともだち」、誰が登場してくれるでしょうか!?乞うご期待。