大好きなライターさんのホームタウンサイトに、
大好きなぼくのホームタウンのことを紹介し連載していけるということで、胸が高まっております。
はじめまして、藤田竜史といいます。
ぼくは現在ホタルライトヒルズバンド(通称ホタバン)というバンドで
ギターボーカル&リーダーをやっている29歳の男子です。
活動の拠点は千葉県柏市にあります。
高校生時代から通い始めて約10年間、
同時にスタートさせた音楽活動と共に街並みや時代の空気も随分と変わりましたが、
この街には変わらない大切な輝きがたくさんあります。
柏が好きすぎて愛しすぎて、仲間と自主レーベルを立ち上げ、
ご当地バンド全開で心のままに音楽活動している今。
ここにしかないリズムや匂い、音を集めて。
この街=HOMETOWNで活動する意味、そこにいる人々、溢れている音楽の魅力などなど、
これからこのYUMECO RECORDSで綴っていければと思っております。
どうぞ、よろしくお願いします!
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《柏My Love》
みなさんは千葉県柏市をご存知ですか?
JRだと上野駅から常磐線に乗って約30分。
東武線の大宮駅からも30分。
東京と埼玉と茨城を結んだ線のちょうど中心点にあるような場所が、
ぼくの暮らす・柏という街です。
ぼくがこの街に通うようになったのはかれこれ10年近く前。
高校への通学がきっかけでした。
サッカーチーム「柏レイソル」の活躍は全国的に有名ですが、
実はこの街、音楽もずっと盛んでした。
今29歳のぼくが高校生だった10年前は路上ライブ全盛期。
柏でずっと唄っていたサムエルことSomething Elseが”最後のチャンス”を掴み大ヒット、
その影響もあってか駅前広場では所狭しと毎日のように音楽が鳴り響いていました。
バス通学だったぼくが夕方駅について立体駅前広場ダブルデッキにあがると、
もはやそこは野外ライブハウス状態。
どんどこドラムが鳴り響き、普通にアンプも使ってみんな演奏していた。
お酒飲んで気楽にカヴァー曲をやっている人なんてひとりもいなかったです。
みんな本気で売れるために路上をやっていた時代。
当時は神話じゃなかったから、路上ライブからのサクセスストーリーが。
あの頃のぼくのヒーローは地元バンドのblossomという3人組。とにかく唄がいい。声がいい。
「sweat」という名曲はドラマ主題歌にもなりましたが、今でも地元のやつらとは伝説として語り継いでいます。
思い返せばFLOWさんもやっていたなぁ。
とある日、ラヂカセを片手に唄うチリチリアフロヘアーのお兄さんに遭遇。
軽音楽部だったぼくはギターを抱えてすかした感じで歩いていると、
「ちょっと!聴いてってよな!ヤングギタリスト!」
すごいグルーヴで話しかけられ、謎の唄を何曲も聴かされ、もう何が何だか分からぬ状態。
最後に「ビックになれよ!」とまたまた謎の激励をもらったあのイケイケシンガーが
まさか後のナオト・インティライミ先輩になろうとはこれっぽっちも思わなかった、、、
路上ライブに限らず、秋になれば地元団体Street Breakersによる音楽イベントが開かれ、
こちらも出身である有名アーティスト爆風スランプのサンプラザ中野くん氏やパッパラー川合氏が
凱旋ライブを行い、そのうち通い始めた音楽スタジオでは「KCHC」という
ハードコアカルチャーの担い手となった中心人物の方々が睨みをきかせ
(実際はどこまでもいい人たちです。ハードコアバンド・ヌンチャクは柏の伝説です。)
あたりを見回せば常にどこかで音楽は鳴っていました。
そして確実にこの街にしかない音楽の文化が根付いていた。
長い年月をかけて少しずつ、少しずつ。
紆余曲折ありつつ、ぼく自身もこの街で様々な変遷を肌で感じながら10年間音楽活動を続けてきて、
2014年あたらしい柏の音楽史の1ページを創るべく、
恩返しの気持ちも込めてこのサーキットフェスティバルを立ち上げることにしました。
イベントの名前は「MUSIC SUN」です。
今までこのようなイベントがこの街に無かったこと自体ぼくは不思議で。
そのため、今一度Kashiwa Musicの中心人物と呼べる方々にお話を伺ったりしてリサーチし知ったことは、
“それぞれが、ひとつひとつであった”
ということです。
それぞれがそれぞれのシーンで、分野で、研ぎ澄まされたものをつくりあげていく中で、
あえて交わるという手段を選ばず、ひとつひとつがどこまでも独自な輝きをつくりあげてきた。
音楽の街としてはあるべき姿だなと感じました。
そして同時に、このすばらしい一等星たちの星図をまとめあげるのは、
どこにも属することの無かったぼくのような存在なのだと考えました。
(年に一度、駅前広場を大胆に貸し切って爆音を鳴らす音楽祭”音街かしわ”にホタバン出演!)
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《自主レーベルの設立〜地元への熱い想い》
2012年、ぼくが率いるホタルライトヒルズバンドは
柏の老舗cafe”Cafe Line”の中に、
“Cafe Line Records”という自主レーベルを立ち上げました。
実際にぼくやもう一人のメンバー村上友香はこのカフェで仕事をしながら生活費を稼ぎ、その中でレーベルの運営もやっています。
逢いに行けるバンドマンとして心の中では高らかに看板を出していますが(笑)何よりぼくらがやりたかったのは、
「音楽の帰るべき場所をつくる」ということでした。
ツアーに行くにも、リリースをするにしても、出発する場所がありまた帰ってくる場所があるというのは、
バンドの物語において本当に大切なことで。
Cafe Lineではカフェ内でライブも出来てしまうため、すべての要素がそこからはじまり、辿り着き、またはじまる。
そんな輪をつくりあげることが出来たのです。
昨年11月にリリースしたセカンドアルバムの一曲「パンザマスト」は、
柏にしかない夕暮れの合言葉として定着しているワードで
たびたびテレビでも取り上げられることがあるのですがもともと防災無線の鉄柱のことを指す用語。
この街ではその鉄柱から流れる放送自体の事を指します。
小学校のとき、校庭からお家へ帰ろうと夕焼け小焼けのチャイム、鳴りましたよね?
「パンザマストになったら帰ってきてね」「冬はパンザマストが4時だ」とか使います。
みなさんの街でも、チャイム、流れます?
ぼくらはそれを大フューチャーし、ミュージックビデオまでほぼすべてを
街の中の風景、街の中の人、街の中のチームで完成させました。
この一連の活動はBSのテレビ番組や地元ラジオ局の方々にも興味深く思っていただき、
それなりにリアクションをいただいたのですが、
何より僕らの中で大きかったのは地方のツアー先で演奏した際、
リアルタイムで目の当たりにする誰しもが心に宿した”ふるさと”への潜在意識とその共有でした。
ぼくらにとっては”初上陸”なその街が、目の前のあの子にとっては紛れもなく”ふるさと”であり。
バンドが全身全霊で鳴らすパンザマストが鳴り響いたその瞬間、
心の中にある”ふるさと”と、そこに広がる”ふるさと”の空気が出逢う。
このケミストリーはちょっと言葉にならない大きな感動を生みます。
ツアーから帰ってくれば、駅前のデジタルビジョンではそのミュージックビデオが放映されており、
自分たちが自分たちの曲に勇気づけられたりもして、、、
ちょっと特別なハートルーティンが生まれ始めているのです。
完結するためのルーティンではなく
転がり続けるためのルーティンへ。
このフェスへの挑戦における大きなキッカケの一つに、このエネルギーがあります。
大切なものを想い出すための音楽ではなく、
大切なものはいつでもすぐそこにあるということを気付かせてくれるのが音楽の本当の力。
ぼくはこんな風に今感じています。
そしてこの気持ちは、常にまだ見ぬ場所へと向かうべき。
なつかしいは新しい。
新しいものはなつかしい。
(とにかく暑かった2013夏のとある一日、パンザマストMV撮影の一コマ。カメラマンももちろん柏出身。地元インディーズバンドを撮影してDIYで活動中の小松くん。)
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そんな本拠地ともいえる場所、カフェラインでぼくは今この文章を書いています。
ちょうどさっきね、パンザマスト鳴りました。
今夜もこのカフェラインで”MUSIC SUN”の創世記的打ち合わせが行われます。
現在バンドがツアー中なため、すっかり幽霊部員立ち位置になってしまっておる私なのですが、
おいしいカレーや豊富なドリンクが楽しめますので、
是非ともみなさんお近くにお立ち寄りの際は遊びにいらしてください。
(自主レーベルを構えるCafe Line。普段はカレーが美味しいアジアン料理屋ですがこんな風に
レイアウトを変えてライブ会場にもなります。)
そしてそして、次回は”MUSIC SUN”の企画書をつくり、いよいよ実際にバンドをブッキングしていく、、、
そんなリアリティを追いかけて。
どうも、柏の逢いにいけるボーカリストこと藤田でした!
AZASU!
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藤田竜史●フジタ・リュウジ
ホタルライトヒルズバンドのボーカル。
大阪出身柏育ちの1985boy。水瓶座O型。
Cafe Line Records/柏Music Sun実行委員/ビートルズ/黄色/スタジオジブリ/蕎麦/秩父鉄道/wilco/カバヤ/ゆず/宮沢賢治/