某月某日:今日もまた暗闇の中へ。109シネマズ木場で、『ゼロ・グラビティ』をIM A X3Dで鑑賞。宇宙やべえ!宇宙やべえよ!みたいな。2013年、遂に映画は、ここまで来た!みたいな。や、薄々気づいてはいたのですが、自分、S Fというか「宇宙もの」に対する執着、あんま無いみたい(爆)。『パシフィック・リム』も、実はそんなに盛り上がらなかったし……とはいえ、「観るべき映画」、というか、是非とも劇場で「体験しておくべき映画」であることは、間違いないと思います。ちなみに、驚愕の“無重力”カメラ・ワークを披露しているのは、最近のテレンス・マリック映画で、完璧な仕事をしている名匠エマニュエル・ルベツキなので、なんかもう、納得というか文句無いですわ。
ということで、ゆるりと続けて来たこの連載も、今回が最後ということなので、一応2013年を振り返ってみましょうか。当連載で紹介して来た映画は以下――
#3「ゼロ・ダーク・サーティ」(監督:キャスリン・ビグロー)
「世界にひとつのプレイブック」(監督デヴィッド・O・ラッセル)
#5 「きっと、うまくいく」(監督:ラージクマール・ヒラーニ)
桐島はロングラン公開中だったけど今年の映画ではないので抜くとして、あと#3だけなぜか3本立てだったので、合計12本。一応、『ゼロ・グラビティ』も入れて13本。改めて眺めてみたところ、どれも結構面白いというか、なかなか良い映画なのではないでしょうか?と思った次第です。
さらに、一応“候補”としつつも、タイミングその他、諸々の事情で落ちた映画を列挙してみると――
「横道世之介」(監督:沖田修一) ※原作小説が最高なんだけど、そのテイストは活きてる。
「フライト」(監督:ローバート・ゼメキス) ※やっぱデンゼル・ワシントンはチョイ悪がグッド。
「ザ・マスター」(監督:ポール・トーマス・アンダーソン) ※PTAは、もはや巨匠ですね!
「リンカーン」(監督:スティーブン・スピルバーグ) ※なんといってもダニエル・Dの「声」!
「建築学概論」(監督:イ・ヨンジェ) ※結構ベタだけど号泣ですわ。スジちゃん可愛かった!
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(監督:デレク・シアンフランス) ※男の背中映画。
「3人のアンヌ」(監督:ホン・サンス) ※韓国から現れたロメールの後継者? 洒脱ですな。
「インポッシブル」(監督:フアン・アントニオ・バヨナ) ※津波怖いよ津波。
「ニューヨーク、恋人たちの2日間」(監督:ジュリー・デルピー) ※エグい女優になりました。
「サイド・エフェクト」(監督:スティーブン・ソダーバーグ) ※ディス・イズ・パーフェクト。
「そして父になる」(監督:是枝裕和) ※是枝映画が苦手での自分ですら認める傑作かと。
「クロニクル」(監督:ジョシュ・トランク) ※デイン・デハーン君、マジでせつねえよ。
「恋するリベラーチェ」(監督:スティーブン・ソダーバーグ) ※キュートなM・ダグラス(驚)。
「悪の法則」(監督:リドリー・スコット) ※“戦慄”とは、まさにこのことか! 震え上がった。
「ウォールフラワー」(監督:スティーブン・チョボスキー) ※エズラ・ミラー君、やばいなあ。
「かぐや姫の物語」(監督:高畑勲) ※終盤少し残念だったけど、大変な問題作と思います。
「もらとりあむタマ子」(監督:山下敦弘) ※あっちゃん、かっこいいー!
以上、17本くらいの映画が挙げられます。どれも個人的には、とても印象的な映画でした。先述の13本と合わせて、合計30本。なんだかんだ言って2013年は、なかなかの豊作だったのではないでしょうか?
と、まあ、タイトルだけ並べて終わるのもアレなので、上記30本の中から、とりわけ強く印象に残ったものを、順不同で7本選んでみました。
「フライト」
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」
「ニューヨーク、恋人たちの2日間」
「風立ちぬ」
「サイド・エフェクト」
「そして父になる」
「悪の法則」
「風立ちぬ」は、以前書いたので割愛するとして、今年いちばん笑った映画として「ニューヨーク、恋人たちの2日間」を。そして、公開時の謳い文句とは裏腹に、実はアクション映画ですらなく、ギリギリまで追い込まれた男が最後に守るべきものを描いた究極の“男の映画”として、非常に鮮烈だった「フライト」。さらには、実際に子どもがいるいないに関わらず、リスクを引き受けながら何かを選びとることの重要さを描いた映画として「そして父になる」が激しく心に残っています。あと、「マジック・マイク」も含めて、今年はソダーバーグの新作が3本も公開されるという“ありえない年”というか、「ホントに映画はもうやんないの?」な意味も込めて、リベラーチェのキュートさもさることながら、やはり完成度という面で群を抜いていた「サイド・エフェクト」を。この映画、マジで巧過ぎてシビれましたわ。で、小説家コーマック・マッカシーの世界観が完全に映像化されてしまった恐るべき作品として、いまだ記憶の奥底にイヤな感じを残し続けている「悪の法則」を、やっぱり推さずにはいられません。“世界”の真実が、ここにあります。
そして――個人的に、今年いちばんグッと来た映画は、何を隠そうデレク・シアンフランスの「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」なのでした。ライアン・ゴズリング、ブラドリー・クーパー、そしてデイン・デハーン……3人の男たちを繋ぐ因果の糸車。もう、この映画は、たまらなく好きな一本としか言えないよ。個人的には、今年のベストです。
ということで、本連載もこれにて終了。一年間お付き合いありがとうござました。
またいつかどこかで機会があれば、映画の話でもしましょうか。チャオ!
むぎくら・まさき●LIGHTER/WRITER インタビューとかする人。音楽、映画、文学、その他。基本フットボールの奴隷。