女の子は妄想と嘘で出来ている。
夢子会vol.2 、ライヴとトークを聴きながら浮かんだ言葉。
こんな言葉を聞いたら、顔をしかめる男子もいるかもしれない。
でも、女の子の妄想と嘘は、ワンダーランドの入り口。
それはもやもやしていてきらきらしていて、優しくて刺激的、そんな矛盾に満ちた素敵なもので、
とっておきの音楽を生み出す一番のスパイスになる。
そう思わせてくれる時間でした。
夢子会vol.2の出演アーティストは、シンガーソングライターのNeat’sさんとNIKIIEさん。
澄んだ歌声とキーボードの音色で、秘密の女の子ワールドを会場内にふんわりと広げてくれる二人です。
オープン前の会場は、さながら女子会。
私はお二人とは初対面だったのですが、お二人ともぱぁっとした笑顔で話しかけてくれて、
一瞬にしてこの不思議な空間に溶け込むことができました。
ギターとキーボードと何種類もの機材で、
ひとりの曲作りの作業を再現するようなステージを見せてくれたNeat’sさん。
そこはNeat’sさんのベッドルームでありながら、サーカス小屋のようでもある。
静かな自分だけの世界と、賑やかなショー……
そんな異質に思える二つの世界を同居させることができるのは、
自分自身にもリスナーにも向けられる、Neat’sさんの真面目さと優しさの力なんだと思う。
ライヴ最後の曲は、音源化されているバンド演奏のものとはひと味違う、
ゆったりとしたバージョンの「モダンタイムス」。
「ひとりシング・ア・ソング」な歌に、いつの間にか会場のみんなが包まれていくような。
ひとりなのにひとりじゃない、という、この夜の象徴みたいな曲でした。
そして、「今日は夢子会ということで、夢をいっぱい持ってきました」と登場したNIKIIEさん。
アンニュイなアーティスト写真のイメージと、
ご本人の気さくでキュートなキャラクターのギャップに驚きました。
きっとどちらも本当のNIKIIEさん。
シンプルなはずなのに鮮やかな、パワフルなキーボード弾き語りを披露してくれました。
必ずしもポジティブなばかりではない歌も、どこか希望に満ちたハーモニーに乗ってどこまでも広がっていく。
乱暴な衝動を心の底に秘めながら、それをあくまでも軽やかに、鍵盤にぶつけているような感じ。
なんだか急かされているみたいな春の日の、落ち着かない心に寄り添ってくれるような歌声でした。
キーボード一本で、切ないバラードも激しいロックも変幻自在なステージに夢を見ました。
「明るく見えるのに、心のどこかに暗さを持ち合わせている」
自分でもそう語っているその曖昧な両面が、絶妙な魅力になって美しいハーモニーを奏でている二人。
閉じこもって悩んでいたり、怖くて足がすくんだりしても、上手く取り繕おうとして嘘をついてしまう。
そんな自分とまっすぐに向き合い生まれる音楽によって、ひとりの世界とみんなの世界が繋がっていく。
そのグルーヴ感が心地良い時間でした。
ライヴが終わってひと月が過ぎても、Neat’sさんとNIKIIEさんのアルバムは、
疲れた頭を浄化したくなったときに、ふと浴びるように聴きたくなる。
甘く爽やかな炭酸のよう。
イベント終了後の会場にて、さながらガールズバンドな一枚!
みんなでこの夜を過ごすことができて本当に幸せだった。
上段左から、主宰の音楽ライター上野三樹さん、YUMECO RECORDSで連載中の伊藤佐和子さん、
下段左から、Neat’sさん、NIKIIEさん、そして今回のフライヤーとクッキーのデザインを担当させていただいた私、大石蘭です。
フライヤーのイラストは、お二人の最新アルバム『MODERN TIMES』(Neat’s)、
『Equal』(NIKIIE)を聴きながら、空想を膨らませて描きました。
私の中でのテーマは、“夢の世界へ行くためのおめかし”
Neat’sさんとNIKIIEさんが、秘密のガールズトークをしながら、
音楽に乗ってネバーランドみたいな夢の中へ遊びに行くイメージです。
お二人とも、気に入ってくださったみたいで、ほんとに嬉しかったな……
私のデザインをクッキー作家さんが忠実に再現してくれた魔法のクッキーも、グッズとして販売しました。
もったいなくて食べられない。
フライヤーを額装したポストカードともども、たくさんの方に手に取っていただけて嬉しかったです。
季節柄、ホワイトデーにもおすすめだったクッキー。楽しんでいただけたでしょうか?
この夜のメロディーと思い出をみんなが自分の部屋に持ち帰ってくれるお手伝いができたらいいな、
という気持ちを込めて作ったグッズたち。
買ってくださったみなさま、これからも時々この夜の記憶に思いを馳せてくださいね。
話すと心がすーっとするという、プライベートでも仲良しの二人。
その二人の本音をインタビュアー上野三樹さんが鋭くあたたかくえぐり出し、代弁する……
そんな長年の信頼関係が生んだステージは、ひとりひとりの心を「大丈夫だよ」と守りつつ、
一緒に楽しい旅に出かけるような、ファンタジックな空間でした。
こんな空間を一緒に作ってくださったひとりひとりに感謝しつつ、
Neat’sさん、NIKIIEさんがこれからどんな世界を見せてくれるのか、わくわくしながら待つことにします。
文=大石蘭http://fatale.honeyee.com/blog/roishi/ 撮影=笹原清明