前回の公開時に、上野三樹さんから
「彼女には吉祥寺や下北沢のインディーズ・バンドなど色々と紹介してもらおうと思ってます」とご紹介いただいたのですが、
今回はさっそく吉祥寺や下北沢を出て京都のバンドを紹介します。前回より長いです。許してください。
学生時代、別のバンドが目的だったライブで空中ループに出会いました。
余談ですが、ノーマークのバンドがめっちゃよかったりすることもあるので、
「目当ては3番目だからそれにあわせて行こう」っていうのは結構もったいなかったりしますよ。
空中ループを観るようになって少し経った2009年6月に、彼らは2枚目のミニアルバム『夜明け、光。』をリリースしました。
わたしは就職してから1年くらいで、夢にも挫折して、
ちょうど「明けない夜はない」とか言いくさる人の足元にかたっぱしからバナナの皮を仕掛けたかったくらいに、
自分は暗闇の中に居て夜明けなんかくるもんかと拗ねていた時期だったと思います。
このミニアルバムは、いろんな考えが無限にループして出口を見失うような真夜中に聴き始めたのだけど、
2曲目の「光年ループ」で、わたし、夜が明けるかもしれないと思ったんです。
単純すぎるけど、嘘じゃないです。
「夜が明けない」ってもがきながらも、誰かに朝陽を持ってきてもらおうと思っていた節が、少なからずあったと思います。
でもそうじゃなくて、走って走って、ぼろぼろになって、足が動かなくなって立ちすくんで、
もうだめだって何度も思いながら、それでも諦められずにまだ進もうとしている自分に、気づいたのです。
自分を肯定してあげなさいよ、と自然に思えたというか。
メンバーがほぼ同世代ということもあり、等身大の言葉がすーっと入ってきて、気づかせてもらえたのかな、なんて思います。
そんなことを感じて涙をぽろぽろこぼしていたころ、ちょうど外はうっすらと朝が始まろうとしていました。
翌日へと移りゆくその光景を、わたしは一生忘れないと思います。
それから、「光年ループ」はとても大切な1曲になりました。
いまでも聴くたびにあの頃を思い出して、深呼吸をしたその直後のように、背筋がパリっとして何度でも新しい気持ちになることができます。
今年1月23日に、下北沢GARDENで開催されたイベントに空中ループも出ていて、
めちゃくちゃ久しぶりにバンドセットでしっかりと観ることができました。
そこでこれまた久しぶりに「光年ループ」を演奏してくれたのですが、
決して“思い出の曲”としてではなく、今、この瞬間に響くものとして、わたしにものすごく迫ってきました。
そのことが嬉しくて、またしても泣きました。前回といい、泣いてばかりですね。
あたりまえですがわたしも大人になって、彼らもわたしより年上なので当然大人になって、
色んな経験を積んで、たくさんの体験をして、お互いに初めて出会ったあの頃とはまったく違うところに居る。
ほんとにいいバンドになったなあ〜と上から目線すぎる気持ちで、しみじみしました。わたしも負けじといい女にならないといけない。
さてさて空中ループは京都在住の4ピースバンドで、「音響ギターポップ」という言葉で自分たちを紹介しています。
ポラリスのオオヤユウスケさんがプロデュースで参加されたりしていて、
もともと持っていたメロディのよさや浮遊感ある音のつくりかたなど、独特の世界観がどんどん素敵に進化しています。
彼らは映像チームや画家の方と作品をコラボするということをよくやっていて、
昨年10月3日に発売したシングルの24分に及ぶ楽曲「その光 – for a long time」では映画が制作され、
なんとその作品は第14回ハンブルグ日本映画祭で上映が決定したそうです。
もちろんわたしも観ましたし、そのことについて書きたいことも山盛りあるのですが、今回は諦めます!
空中ループもVo./G.松井省悟さんのソロでも勢力的にライブをしているので、機会があれば是非観てみてください。
あ、目当てのバンドの対バンに名前があったら、気にしてみてくださいね。
わたしからは以上です! 長い!
いとう・さわこ●1984年うまれ。都内で働くOLです。すきなものには最初にかじりつき、ひとくちだけ残しておいたのを最後に食べるタイプです。実は最後に乱暴に紹介した映画とのコラボ作品(彼らはミュージックシネマ、と言ってました)の中で女の子が踊るシーンがあるのですが、それを観たときに連載のタイトルを思いつきました。踊る男性も、歌う女性ももちろん素敵ですが、やっぱり女性にしかない曲線美と、男性にしか歌えないものってあると思って、それには勝てないな〜打ちのめされちゃうな〜、という由来でした。