つい先日38歳になりました。ありがとうございます。お久しぶりです、私は今日も生きています。
そもそも私は朝に強くて、カツ丼やカレーだって大盛りで食べられるくらい屈強な胃を持ち、健康的な血圧で、だからわかってはいたんだけど、やっぱり朝が好きだと、最近しみじみ思います。
保育園に送っていく朝、なんとか子どもを連れてきて既にヘトヘトになってるなかで、大きな声で「おはようございます」と親同士で声を掛け合うのが好き。その一言には、朝からここまで子どもを連れてくるのほんと大変でしたよね、お疲れ様でしたイーチアザー、そしてこのあとお仕事からお迎えまで頑張りましょうね、イーチアザー! って、マスクしていても伝わる気持ちを交感して、労いの気持ちを込めながら、なんとかお互いの子供に気持ちよく保育園タイムをスタートしてもらえるように(つまり親たちがスムーズに出勤できるように)協力しあってるような「ちょっと2割増しで元気よく声を掛け合う」あの瞬間が、すごい好きだと、最近気づきました。朝に元気に挨拶するって、とってもいいよね!
実際のところ毎日時間に追われていて、子供はまだ2歳なのに(3歳になる学年です)朝早くから叩き起こされて発破かけられて行きたくない保育園に行かされて、やっと迎えに来たと思ったら今度はご飯食べて! お風呂入って! 歯磨きして! 寝て! って追い立てられて気の毒だな〜と思う。それが週5。私が同じ歳の頃、それはそれはのんびり生きていたので、バレたら一生恨まれるかもなんて思うほど息子は大変だと思う。毎日ありがとうの気持ちと、ちょっとだけごめんねの気持ちを抱きながら、それでもこの生活はまだやめるつもりはなくて。
そんな生活のなか、自分のために音楽を聴くことを、もうすっかり、忘れていました。日々家で鳴っているものといえばYouTubeの幼児向けチャンネルの、自分も昔から知っているような童謡ばっかりで、歌ってとせがまれることもあり、ふとした瞬間に口ずさむのもそれ。13年モノくらいになるiPodクラシックをしばらく充電していなかったので、もう動かないかもしれないな、と時折頭をよぎるけれど、充電することもなく、再生することもなく日々慌ただしくいきています。新しい音楽も、もうずいぶん増やしていません。
私は、大人になった。でも大人ってなんだろう。子どもを育てる親になった。ねぇ、親ってなんだろう? 明日は大雨だから自転車での登園は難しそうだな。保育園の引き出しにズボン足りてたっけ。オムツ全然減ってなかったな。トイトレ頑張ってるんだな。保育園の先生には頭が上がらないな。冷凍庫に何が残っていたかな。今日は帰りに踏切で電車を見たいって言うかな。いつもゴミ収集車が停まっているところで今日も見られるだろうか。公園に差し掛かる手前でどっちの道を行きたいっていうかな、今日は選んだ方を通ってやろう。今の私は、そんなことで、頭がいっぱい。30代が本格的に始まった31歳になったばかりの頃、ゆめこにやる気みなぎる感じの心境を書き留めていました。そして「30代の半ばを過ぎる頃の自分はどうしてるかな」なんて書いてました。さらに時は進みもはやアラフォーの私はこんな感じ。まあ元気でやってるよ、最近、iPodをまた動かすようになったよ。
時はさらに遡り16年前の2006年、当時私は自分のことだけ考えていればいい大学生だった。そう、ELLEGARDENの活動休止前最後のアルバムが出た年です。頭の中は、日々の暮らしや行きたいところやりたいことのためのお金のこと、未来に生きたい道のことでいっぱいで、勉強はそこそこで、隙間にバイトを詰め込んで、卒論も全然進んでなくて、それでも寝る時間を惜しんで本を読み音楽を聴いてライブに行って、24時間全部、なんかやってたような気がする。その生き方をまたやりたいとは思わないけど(笑)、いい20代を生きたな、とは思う。
大阪に住んでいて、モンスターバンドだったELLEGARDENのチケットはほんとに取れなくて、なんとか取れたのが香川県の会場だったりして、テスト期間にもかかわらず友人と夜神戸を出て朝に着くフェリーで向かい、観に行ったこともあったな。活動休止は「やっぱり」と思うところの方が多くてそこまで驚かなかったけど喪失感がものすごかった。そして、休止って言っても戻ってこないでしょ、と思ったり、その後始まった各々の活動を多少気にしながら、ときどき思い出したようにホームページのアドレスにアクセスして、ドメイン自体が消えてないことにホッとしたりしてた。
SNSをインスタしかやってない現在、ほんとに情報にうとくて、彼らの16年ぶりの新譜の情報を知ったのは発売の1ヶ月前くらい。レコーディングに向けて動いていたことも、そのための旅に出ていたことも、全部逆再生で知っていった。あまり追いかけすぎずに、CDを何万年ぶりかに予約して、その日を待つことにした。もうかつてのように、まず歌詞カードを眺めて、たった1人の部屋でコンポを鳴らすこともできないし、なかなか噛み締める時間がなくて、それでも、時が止まっていたiPodを再び充電して、iTunesに取り込んで、とある朝にオットと子どもを送り出してから自分が家を出るまでのたった40分やそこらの時間に、やっと再生ボタンを押して、洗濯物を高速で干したりしながら聴きました。嬉しくてたった1人の家で笑顔で、掃除機かけて、お皿を洗って、ドタバタしているうちに終わってしまったけど、あー、彼らも彼らの16年を生きてたんだな! あー、いいなこれ、すごい好きなアルバムだ、と正直に思えてすごく嬉しかった。
大人の自分でこれを聴けて、私は嬉しいと感じました。みんなはどうだった? あのAmazonミュージックのCMで一回メンタルが死にかけたけど(マカロニえんぴつがエルレガーデンのトリビュートしたのもう聴いた?からのお父さんが大喜び!のやつです。お、お父さん、お父さん、そうか、そうか…と滅しました)。あとライブに行かれればもう大満足思い残すことはない! って感じですが、まったくチケットが取れないのはこれまたどーして。今作のツアーではマリンスタジアムを7daysくらいやってくれれば、みんなの願いは叶うのではないだろうか(戯言です…)。
さあ、もっと話が長くなりそうなので、また来年も書いてもいいですか? 上野さん!
皆様、良いお年をお迎えください。
いとうさわこ●都内に住む2歳の子供がいるスラムダンクの影響でバスケを始めた系のパートタイマーです(情報過多)。先日、朝一の新宿でスラムダンクの映画を見ました。もう冒頭からずっと泣いてました。