蝉の鳴き声を聞きながら、いよいよ8月、夏だなぁと感じます。恒例の夏のイベントはまだまだ自粛ということで、季節を肌で感じることが少ないのが少し残念ですが、すべては、この先のため、来年のために。今は心を鍛えて、体力を蓄えておきたいところです。


さて、今回は7月25日に生配信された真心ブラザーズのライブ「Cheer up! 001」の様子をお届けします。

 
 
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2月22日にビルボードライブ大阪で行われた地球三兄弟以来の真心ブラザーズ。約5か月間、YO-KING(以下、KING)は、奥田民生さんのYouTubeチャンネル『カンタンテレタビレ』にリモートでカーリングシトーンズとして、また地球三兄弟として桜井さんとともに出演していたり、桜井さんは、ご自身のインスタグラムでライブをされたりしていたけれど、やはりお二人そろってのライブは格別だった。配信予定時間、17時に画面が切り替わり、おもむろにKINGが歌い出したのは「GREAT ADVENTURE FAMILY」だ。〈時はもうそこまで来ているよ(中略)君に歌いたい伝えたい見せたいものがあるのさ〉と歌う。たとえ、パソコンやスマホの画面越しだって、二人の奏でるあたたかい音色がダイレクトに届いてくる。やっぱりKINGの声はいいなぁと、真心ブラザーズはいいなぁという想いとともに、コロナ禍で、ずっと心の奥底に押し込めていたライブへの想いが込み上げてきて涙が出そうになる。そして、この曲を何よりもいちばんに選んだ彼らの思いが伝わってきた。「荒川土手」、桜井さんが歌う「いい天気」と初期の懐かしい曲が続く。情景が浮かぶこの2曲、開放的で野外にいるような気分だ。二人が並んで座り、アコギを奏でる。


真心ブラザーズとして初の試みの生配信ライブだが、巷で、配信ライブは、演奏が上手すぎてDVDを観ているようだという声があるのだという。「だから俺、わざと下手にやろうかと思ったんだけど、ついうまくできちゃうの。なんか下手にできないんだよね」といつものKING節に、爆笑し「困ったもんですねー」と桜井さん。さらに「俺がコード間違えたら、桜井が100万円払います」と言い出すKINGに、「誰に?」と笑って応える。そう、これが真心ブラザーズなのだ。久しぶりに二人のやりとりを見て、そうそう、この感じとしみじみ感じ入った。そんなMCを挟んだあと、NHK Eテレ『0655』『2355』でおなじみの「のりこえるの歌」、そして「風を浴びて君を想う」を歌い上げるKING。ロマンティックな桜井さんのエッセンスが込められた「風を浴びて君を想う」。〈僕のやさしい人よ 何を見ても冷たい気持ちになってはいけないよ〉。KINGのまっすぐな歌声が、やわらかさと優しさを纏う。このバランスがとても好きだ。KINGのハープ、桜井さんのメロディアスで歌心のあるギターとともにとても心地よく細胞の隅々にまで沁み渡る。


二人の唯一無二感を堪能したあとは、バンドバージョンにセットチェンジ。この時間を使って、配信ライブを観ている視聴者の書き込みを見ようと、リーディンググラスをかける桜井さん。年々、見た目がおばさんに近づいてきていると先日桜井さんが話していたが、なるほどとうなづいてしまうレアな光景だった。KINGもニヤリとしながら「より(桜井さんの)お母さんにそっくり!」とつっこんだ。ここでも桜井さんいじりが止まらず、「(お客さんが)誰もいないのに悪態をついてもしょうがないよね」と我に返るKINGに苦笑い。

 
 

 
 

そして、いよいよ、ハルくん(岡部晴彦さん/Ba.)と大地くん(伊藤大地さん/Dr.)が加わってバンドバージョン・Low Down Roulettes(ローダウンルーレッツ)のライブがスタート。和やかな4人に、スイッチが入る瞬間。大地くんのカウントから「突風」が始まると、思わず鳥肌が立ち、あぁ、早くこの音を生で聴きたいと強く思った。真っ向からこんな骨っぽい歌が歌える人は、KINGのほかにはいないんじゃないだろうか。ゾクゾクするほどのかっこよさ。しびれるほどのグルーヴ感に圧倒された。次は雰囲気ががらりと変わり、「All I want to say to you」。画面越しから歓声が聞こえてくるんじゃないかと思うほど盛り上がる名曲だ。続いて、7月にリリースされた配信限定シングル「天空パレード」が初披露された。久々のライブでテンションが上がっているというKING。桜井さんが「人知れず、今コードを間違えました」と告白すると、すかさず「はい、200万円!」と返し、「(金額)上がってない? 100万円じゃなかった?」と、KINGに乗る桜井さんの人のよさに思わず吹き出してしまう。


思えば、KINGは先述の『カンタンテレタビレ』で、個性的なカーリングシトーンズのメンバーのなかでも鬼才ぶりを発揮して、ほかの5人からいっせいにいじられていたが、ここでは桜井さんをいじれることが嬉しくてたまらないようだ。桜井さんから「ばんばんボケを投げてきて対応しきれない」と言われても、終始ゴキゲンなKINGだった。そのゴキゲンぶりは、もちろん歌にも存分に表れていた。「サティスファクション」では、〈努力修行も必要なし 今のままで幸せだから〉と改めて真心ブラザーズの神髄に触れ、この状況下で、未だ夏を謳歌できない日々だが、「ENDLESS SUMMER NUDE」では、ひと足早い夏の煌めいた景色を見せてもらった。笑わせて聴かせる真心ブラザーズのライブ、ここには多幸感しかない。こういう時期だからこそ、いつにも増して痛感する、笑うことの大切さ。顔を見て、笑い合える関係。彼らにとっても、“ここ”は、“HOME=帰る場所”なのかもしれない。1時間強のSPECIALライブは、彼らだけでなく、観ているすべての人が笑顔になった、幸せのたっぷり詰まった時間だった。

 
 

 
 
 


 
プロフィール用写真shino muramoto●京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。先日、比叡山の酒井雄哉大阿闍梨の『一日一生』を読み直していました。どんなに嫌なことがあっても、失敗して落ち込んでも、今日の自分は今日でおしまい。明日は、新しい自分が生まれるから「一日が一生」。昨今の悲しいニュースに今でも嘘であってほしいと思わずにいられません。。
 
 
 

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