6月になり、緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ安心のできない日々が続きますね。今まで通りの生活、特に、ライブや舞台などが再開される日まではもう少し時間が必要かもしれません。さみしいな。でも、こんな状況だからこそ、と多くの有名人の方がSNSで発信してくれるライブ動画は、本当にありがたくて楽しませていただいています。なかでも、真心ブラザーズの桜井秀俊さんのインスタライブに夢中です。それまでSNSはよくわからない、アナログ人間だとおっしゃっていた桜井さんが、スマホ画面に向かって、お酒を片手に何度も乾杯をしながら、ちょっとほろ酔い加減で弾き語りをしてくれるレアなライブ。おしゃべりのセンスが抜群で、自慢の楽曲を真心ブラザーズでは「YO-KINGさんが歌っちゃう。俺だって歌いたい!」なんてこぼしていたこともあるから、こういったインスタライブは桜井さんにぴったりだと思う。
思えば、観に行ったライブに、偶然ソロプロジェクトで出演していた桜井さん。当初、桜井さんが真心ブラザーズの人だとは知らなかったが、そのライブを観てひと目でファンになった。何といっても、楽しい! そして、こんなに幸せそうに歌う人を初めて見た。桜井さんの、喜びに満ちた幸せのオーラに包まれて、もっとこの人のライブを観てみたいと思い、以来、ソロを含め、真心ブラザーズのライブに足を運ぶようになった。桜井さんの、心の琴線に触れるロマンティックで美しいメロディーは、KING(YO-KING / 以下、KING)の声を乗せると、また違った雰囲気を醸し出すのが真心の醍醐味。MCでは、感性の赴くまま自由に発するKINGの言葉を、桜井さんがひとつ残らず拾っていく。思いがけないタイミングで放たれるKINGの発言を、決して宙に浮かせることなく、補足して盛り上げ、会場をより一層笑いに包むセンスが素晴らしい。KINGも、話に困ったときは桜井さんの頭の先からつま先までを見てネタを探すのだといい、二人は唯一無二の存在なのだと思う。数年前のマゴーソニック(真心ブラザーズ主催のイベント)では、ゲストの斉藤和義さんの「ずっと好きだった」を、和義さん、KINGに続いて、気持ちよく歌い上げた桜井さんに、KINGがまさかの一言!「俺らボーカリスト2人に続いて、よく歌ったね」。挙げ句の果てに、和義さんから、奥田民生さんの生誕50周年イベントでオーケストラの方の前で堂々と披露した、決して達者ではない(ごめんなさい)バイオリンのことをつっこまれた桜井さん。また、その動画が公開されていることに驚き、動揺のあまり、次に演奏する曲をぽろりと言ってしまったり、肝心のギターソロで、間違えてシールドを踏んでしまい音が出なくなったり。その様子に大爆笑のKING、落ち込む桜井さんに「今、そんな落ち込んでても、どうせ今日もお酒呑んで、笑って、ぐっすり寝るんでしょ(笑)」と。その言葉にKINGの愛がたっぷり詰まっているなと思ったものだ。毎年、律儀に年賀状を送ってくれる桜井さんにだけ、年賀状を返していないだとか、桜井さんのリアクションを楽しむKINGは本当に嬉しそうだ。小学生の男の子が好きな女の子をからかう、それなのかもしれないな。東京スカパラダイスオーケストラのことを、東京都スカパラダイスオーケストラと言っちゃったり、アベフトシさんの、あのカッティングを目の当たりにして、「なんなんですか! あんた」なんて言い放ったり、数えきれないほどの面白いエピソードを持つ天性の愛されキャラ。そんな桜井さんのインスタライブ、楽しくないわけがない!
桜井さんの自宅作業部屋から、すでに3回行われたインスタライブ(6月3日現在)は、回を重ねるごとにリラックスムード。自室の蛍光灯も女優さんのライトのようにいい感じで桜井さんを照らし、相棒のギターもファンキーな音を鳴らしている。桜井さんは、まるでラジオのように、リクエストをしてくれた方のユーザーネームを読みながら、何でこの名前なのか、名字の子音だけをつまんで合わせたものなのか、本当は何という名前なのかなど推理し始める好奇心の塊(笑)。そして、インスタライブでコール&レスポンスの導入。この日も、毛細血管切れんばかりの熱量で歌い上げた「あれあれ、あの、あれ」は最高だった。コールして、いくらかのタイムラグの後、続々とコメント欄に上がってくるレスポンスにご満悦の桜井さんが可愛い。さらに、この日のクライマックスは、先述のバイオリン! 2月に行われた地球三兄弟(ビルボードライブ大阪)でのKINGのエピソードを交えながら「アースの休日」を披露。入場料が発生しない、こういうライブだからこそ挑戦してみようと、人生初のバイオリンの弾き語り、そして合間に叩くタンバリン。その、今まで観たことのないシュールなシチュエーションは、つっこみどころ満載で、コメント欄は、これ以上ない盛り上がりを見せた。桜井さんも、鳴らしたバイオリンの音色に思わず笑いがこぼれる。アイデアマンで、どんな状況でも大らかに楽しんで対応できる、まさに桜井さんの人間力が爆発していた。ニコニコして「もう1曲演っちゃおうかな?」っていう問いかけにも、思わず「うんうん!」と画面越しに答えている幸せ。傍から見たら、かなり怪しい光景なのだけれど、おうちにいながらにして、特等席で桜井さんのライブが観られること、そして大好きな楽曲をKINGとは別バージョンで聴けるなんて、これ以上ない贅沢だ。今後も、いろいろな企画を考えていらっしゃるそうなので、みなさんも一度桜井秀俊さんのインスタライブをのぞいてみてください。そして、桜井さん! これからもぜひ継続していただきたいです。
shino muramoto●京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。現在、無観客で開催されている競馬の日本ダービーで無敗の二冠馬が誕生しました。勝ったのはコントレイル。父のディープインパクト以来15年ぶりの快挙なのだそう。秋の菊花賞を勝ち、三冠馬として父を超えることはできるのでしょうか? 今年は牝馬のデアリングタクトも無敗で二冠を制覇し、楽しみが広がる競馬界。1日も早く競馬場でレースを観戦したいです。
★shino muramoto「虹のカケラがつながるとき」真心ブラザーズ関連記事
第36回「名手・四位洋文騎手引退によせて。」
第35回「2020年1月・想いのカケラたち」
第28回「長いお別れ」
第23回「控えめに慎ましく」
第20回「真心ブラザーズ『INNER VOICE』。幸せは自分のなかにある」
第13回「それぞれの遠郷タワー(真心ブラザーズ / MOROHA Live Report)」
第12回「幸せのカタチ」