瞬く間に2020年も1か月が過ぎ去り2月に入りました。連日報道されている新型肺炎が不安ではありますが、今回は趣向を変えて、日記形式でお届けしたいと思います。
1月1日(水)今年も『ジャニーズカウントダウン』を観ながら2020年を迎えた。2020年も健康第一で過ごしたいと思う。健康でさえいれば自ずと笑顔でいられるから。手帳は今年もほぼ日手帳。もうすでに、いくつもの予定を書き込んでいて、手帳を開くたびにワクワクしている。1日1日を丁寧に過ごしていきたい。
5日(日)京都競馬場で京都金杯。競馬友達と新年の挨拶を兼ねて、そして2020年最初の運試し。今年は5日が日曜ということもあって、にぎわっていた。馬券もささやかながら当たり、幸先がよい。
6日(月)本当は仕事初め。…なのだが、明日手術を受ける母の入院に付き添うため休みをいただいた。11月に以前働いていた会社に復帰して早や2か月。教育系の校正の仕事をしている。どんな仕事でもそうだが、校正も奥が深くやりがいを感じる。文字の誤植を見つけるだけでなく、日本語として正しいか、読みやすいかなどチェックする項目を挙げるときりがない。ただ、扱う書物や現場によってさまざまなので、その場その場に応じた校正が必要になってくる。この疑問を書いた方がいいのか、それとも書かない方がいいのかと葛藤することも多い。また、校正した原稿を見る方に確実に伝わるように、言葉を選びながら、簡潔に、鉛筆で疑問出しをする。今の会社は、幸い、どんなことも書き出してほしいと言っていただいているので、とても感謝している。
7日(火)朝9時から、母のヘルニアの手術。午後1時前には終了し病室に戻ってきた。今日は一日ベッドから動いてはいけないと言われ、母は不満の様子。歩き回りたくてうずうずしているらしい。
12日(日)妹がワンコ(ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア)とともに帰省。ワンコは12月に偶然母と同じヘルニアの手術をし、傷口を触ったり舐めたりしないようにとエリザベスカラーを装着中。カラーをあちこちにぶつけながら、飛んだり走ったり元気いっぱい!
13日(月・祝)夕方、大阪・オリックス劇場で行われるカーリングシトーンズのライブへ。寺岡シトーン(寺岡呼人さん)を筆頭に、奥田シトーン(奥田民生さん)、斉藤シトーン(斉藤和義さん)、浜崎シトーン(浜崎貴司さん)、キングシトーン(YO-KING)、トータスシトーン(トータス松本さん)という個性豊かなフロントマンがずらりステージに並ぶだけでワクワクする、まさにドリームバンド。鳴らされる音の華やかさは格別で、ぐいぐい惹き込まれる。それぞれが曲によってメインの楽器だけでなく、ドラム、ベース、キーボード、ハープなどを演奏する、その多才ぶりにも驚かされた。話の中心はトータスシトーン、奥田シトーンだけど、みんなが口々につっこんだりしゃべったり、まったく自由気ままで予測不可能な50代。また、もぐもぐタイムあり、モノマネ大会あり、ミルクボーイネタありで芸達者な6人に笑わされっぱなし。おまけに、ダンスまであるのだから、笑いすぎて、顔が筋肉痛になりそうだ。
15日(水)朝からずっとKing Gnuのアルバム『CEREMONY』を聴いている。映画の主題歌にもなっている「どろん」の、〈人はいつだって曖昧な生き物でしょう〉というフレーズがヌーらしくてゾクゾクした。オープニングの「開会式」からラスト「閉会式」まで、すべてが計算しつくされているような気がした。常田さんがメインボーカルの「壇上」に胸が締めつけられる。
17日(金)会社近くの焼肉店で、新年会を兼ねて歓迎会をしていただいた。課の男性が万が一のために身体を鍛えているという。万が一ってどんなとき? たとえば暴漢や痴漢にあったとき、容赦なく投げ飛ばす心づもりなのだそうだ。私は、まったく身体を鍛えていないので、怪しい人に気づいたら、ベルトに手をかけて(武器代わり)、急に電話がかかってきた体で、吉本新喜劇のようなコテコテの関西弁で大声で喋ると大概どこかへ行ってしまうと経験談を話して爆笑される。その後もみんなの痴漢撃退法で盛り上がった。
18日(土)夜、田中みな実さんのインスタライブを観た。普段行っているクレンジング~夜のお手入れを披露。5,6万人の視聴者を前に、すっぴんを公開する潔さ! でもすっぴんでもめちゃくちゃ可愛い。スチーマーをあてながら丁寧にクレンジング。それでも汚れは残っているのだと美顔器で念入りにメイクを落とし、シートマスクなどなど。その、気の遠くなるような工程にほぉーっとため息。私はだいぶん端折ってるなぁ。唯一日課にしているのは頭皮のマッサージくらいだ。
19日(日)自宅で競馬観戦。京都競馬場では、有馬記念の優勝馬・リスグラシューの引退式が行われた。また、この日の新馬戦(馬のデビュー戦)は、武豊騎手が約10年ぶりにアドマイヤの冠名で知られる亡き近藤オーナーの馬に騎乗すると話題になっていた。近藤オーナーは、高額で購入したディープインパクト産駒のアドマイヤビルゴに「豊を乗せてくれ」と言い遺されていたのだそうだ。オーナー(馬主)とトップジョッキーの間に何があったのかは定かではないけれど、譲れないプライドがあったのかもしれない。お互いが和解のときを待ち望んでいたのかもしれない。そして、武騎手は見事アドマイヤビルゴを勝利に導いた。絶対はないといわれる競馬で、オーナーの遺志を叶えた武騎手はやはり神がかっていた。瞬く間にネットニュースになり、すべての競馬ファンが称賛をおくり、涙した。
20日(月)15日に発売された中村 中さんの『未熟もの』を聴いている。中さんの歌声は、温かくて菩薩のようだ。家族との思い出が語られた「曲がり角」。アコースティックギターの音色が切なさもやるせなさもすべて包み込んでいて、どんな記憶も宝物だと思える。「飲みに行こうよ」では、以前ライブで話されていた、子ども扱いされたり大人扱いされたりする宙ぶらりんな今の年齢(30代)への想いが綴られている。嘘のない、等身大の中さんが詰まったアルバムだった。2月のアコースティックライブが楽しみ。
24日(金)東京で行われるライブを観るため、京都から東京へ移動。連日、新型肺炎のニュースに、新幹線はマスク姿が目立つ。午後、品川駅に到着。横浜在住の友人が会いに来てくれた。チェッカーズが縁で知り合った30年来の友人。当時はSNSなどなかったから、FCの会報にファン同士が交流できるコーナーがあったのだ。時代だなぁ。頻繁には会えないけれど、とても波長が合って、似た者同士だなと感じている。別々の場所で、それぞれの時間を過ごしているはずなのに、なぜか同じようなことをしていて、お互いにバイタリティーがあると感心し合っているのも面白い。私が忘れているようなことを覚えていてくれたり、一言一言にはっとさせられたり。この日は「自分に特等席を与えてあげてほしい」と言われて、ほろっときた。
夕方、マイナビBLITZ赤坂で、村越弘明(HARRY)さんのライブ「beat the odds」へ。この日は「Harry and The Siegfriend」として、バンドメンバーにフジイケンジさん(Gt)、高野勲さん(Key)、ウエノコウジさん(Ba)、中村達也さん(Dr)という超豪華なラインナップ。いくつものロックシーンを彩ってきた名だたるミュージシャンが集結したライブは、憂いに満ちてセクシーで、まさに眼福、耳福の極み。どこを観ても絵になる、さまになる男たち。なかでも一段と輝きを放つHARRYさんのオーラ、かっこよさといったら! フロアから飛び交う声に微笑み、応えるように手を突き上げる。そのしぐさにさえ魅せられる。HARRYさんを、THE STREET SLIDERSをリスペクトする百戦錬磨の彼らでさえ、HARRYさんの手のひらの上だと思わされた、極上のステージだった。
ライブ後、友人と焼き鳥屋で打ち上げ。私の、この連載を毎回読んでくれている有り難い友人。普段校正の仕事をしているのは「もったいない」。もっと書いたらいいのにと言ってくれた。とてもうれしい言葉をありがとう。
25日(土)昨夜の興奮冷めやらぬまま、午前中から神楽坂の「AKOMEYA TOKYO in la kagū」で開催されているmt STOREへ。見るとついつい欲しくなってしまう。厳選して、丸いノートと限定のマスキングテープセットなどを購入。その後、かもめブックスで菊池亜希子さんの『おなかのおと』原画展を見て、『おなかのおと』と坂口安吾の『勝負師』を購入。
東京駅へ移動し、真心ブラザーズの新年会へ。昨年発売されたアルバム『トランタン』の購入者特典に見事当選したのだ。YO-KING、桜井さんお二人のトークは今年も快調。KINGの、桜井さんをいじるときの嬉しそうな顔。ちょっと困り顔の桜井さんにご満悦な様子。いいコンビだなぁとニヤニヤしてしまう。お二人の書初めや弾き語りライブ、選ばれた参加者がお二人に挟まれての真心カラオケ大会など大盛況。宴の締めくくりは、桜井さんからカレンダーポスターの手渡し、お二人の握手とお見送りだった。私は、パイオニア・コンボの『MaximuM X’mas』という、桜井さんが組んでいたバンドの古いアルバムを持参し、桜井さんに「あー! 懐かしいっ!」と喜んでいただけたところまでは覚えているのだが、その後、すっかり舞い上がって、握手をしたのかどうかすら、記憶も手の感触もまったくない。ただ、KINGには、カーリングシトーンズのライブが最高だったと伝えることができた。「KINGのファンが増えましたよ、より一層!」と言ったら、「より一層!」と言って笑ってくれた。
その後、赤坂の本屋さん「双子のライオン堂」へ向かった。この日、校正者である牟田都子さんの『校正者の日記 二〇一九年』が先行販売されていたからだ。靴を脱いで入るスタイルの店内。すぐそばに牟田さんがいらっしゃった。お帰りになる間際、お声をかけさせていただき、サインをいただくことができた。そして校正のお話しもさせていただいた。牟田さんはお忙しいのに丁寧に聞いてくださり、ご自身が愛用されている万年筆で「今日は毎日あたらしい」という言葉を添えてくださった。感謝。物腰の柔らかさとふわりとした女性らしさ、そしてまっすぐでしなやかな軸が垣間見えるような、とても美しい方だった。憧れの人が、素敵だったことがとてもうれしくて、思わずスキップをしてしまいそうになりながら、赤坂駅への道のりを急いだ。偶然にも、赤坂に始まり赤坂に終わる。濃厚な2日間だった。
27日(月)憧れの人や会いたかった人にお会いできて、すっと背筋が伸びる月曜日。実は25日、HARRYさんのライブ前に、GRAPEVINEの田中くんに遭遇したことも原動力になっている。あの時ふと横を見ると、そこに田中くんがいた。あまりにも自然な佇まい。プライベートだし、そっとしておこうと少し離れて静観していたのだが、あろうことか田中くんが私の方に歩いてきた。何とか心を落ち着かせてほんの数秒だけ、4月にライブに行くことを伝えることができた。「あ、ありがとうございますー」。その時の表情と聞き慣れた田中くんの声を、あれから何度も頭のなかでリピートしている。あとから思えば、「(1月15日)お誕生日おめでとうございます」って言えばよかったとか思うことは多々あるが、予測外のハプニング、限られたほんの数秒で、どれだけ想いを伝えることができるんだろう。永遠のテーマだ。
28日(火)『校正者の日記 二〇一九年』を読み終えた。牟田さんの誠実なお人柄がにじみ出ている。元々、日記本は大好きなのだが、この本は別格。私の毎日に寄り添い、ぽっとあかりをともしてくれる存在になりそう。私もいつか、牟田さんと同じステージに立ちたいと強く思った。
30日(木)斉藤和義さんのアルバム『202020』発売。今月末からスタートするツアーのバンドメンバーとライブ感覚で録られた曲が中心になっている。また、さくらももこさんが和義さんに歌ってほしいと作詩された「いつもの風景」や映画『アイネクライネナハトムジーク』の主題歌「小さな夜」など、バラエティに富んだ楽曲が収められている。なかでも「オートリバース~最後の恋~」が心にしみる。
夜、田中みな実さんがインスタグラムで紹介されていた、美容家・小林ひろ美さん直伝の“乳液仮面返し”をしてみた。これは、普通に5~10分ほどシートマスクをしたあと、シートマスクをはがさずに上から乳液を塗り、その後シートマスクを裏返して10分ほどおいておくのだ。これは新発想だし簡単! しっとりと潤うのでおすすめ。
31日(金)夜、楽しみにしていたカーリングシトーンズが出演するミュージックステーションを観た。相変わらずのゆるさ加減と、メンバーを紹介するVTRが若くて、ご本人たちも苦笑い。和義さんは一言も発することなく、『スベり知らずシラズ』でドラムを披露。これだけのメンバーが集結しているから短時間では物足りない気はするが、テレビを観ている人たちに、楽しさは十分伝わったんじゃないだろうか。スケジュールが合う限り、どんどん露出してほしいと願っている。
また、この日は中島みゆきさんのトリビュートスペシャルで、番組の最後を飾った竹原ピストルさんの弾き語り「ファイト!」に涙した。この瞬間、たまたまこの曲を耳にした人もいるだろう。それぞれの日常、何かにつまづいている人も迷っている人も、そうでない人も、きっとピストルさんの魂のこもった歌に立ち止まったのではないだろうか。ピストルさんの熱い想いが、静かに、そして弾丸のように胸に届いてきたからだ。これは、誰かのための歌ではない、ピストルさん自身への、そして目の前にいる私たちへの渾身のエールなのだと思った。私はこの曲を聴くたびに、イチロー選手が日米通算4257安打目を達成されたときのインタビューを思い出す。小学生のころ、毎日野球の練習をしていると、近所の人から「あいつプロ野球選手にでもなるのか」と笑われていたのだという。その悔しい歴史があったからこそ、今の自分があると言い切ったイチロー選手の姿を、私は忘れない。〈闘う君の唄を 闘わない奴らが笑うだろう〉。この瞬間を共にできてよかった。心が浄化されたような気がした。
大好きな人や憧れの人たちから、たくさんのパワーをいただいた1月。想いを伝えること、届けることは、もしかしたら私の使命かもしれないな。いくつかの種を撒いた気分。毎日水や肥料を与えながら、大切に育てていきたいと感じた2020年の始まりでした。
shino muramoto●現在は校閲をしたり文章を書いたり。本文でも触れていますが、先日は中村 中さんのアコースティックライブへ。一本のアコギから放たれる音はまるで中ちゃんの分身。ピアノの弾き語りも素晴らしくて、さまざまな表情で魅了する。そして毒を吐く!吐きまくる笑。そんな中ちゃんが大好き。みんな踊らされたり歌わされたり、そして泣かされる。嘘のない中ちゃんの言葉が胸にしみる、最高のライブでした。