「反抗期」について話すことがなぜか近頃続いていて、自分の時はどうだったっけっていうのをよく思い出していた。あったかなあ、反抗期。自分の場合、「反抗」って親や教師に対する反発とは違っていて、自分のなかに名前をつけがたい主義・主張みたいなものが芽生え始めていたその頃に、それを説明する言葉がまだ見つけられなくてもがいていたような気がする。まあその不安や不満のようなものを、親や教師に対して八つ当たりみたいな形でぶつけていたのかもしれないけど。
とあるお母さんは、中学2年生の息子さんが休みの日に自分の部屋から全然出てこなくて、出てきたと思ったら「飯。」とだけ言うといって嘆いていた。でも、服を買いに一緒に出かけたり、家族の旅行は定期的にそれも子供から場所のリクエストがあったりして行われているという。一緒にいた人たちから「全然反抗期じゃないよ!」と総ツッコミを受けていた。成長とともにかかわる社会が少しずつ広がって、自分だけの時間が欲しいとか、そういうことが増えていっているだけなんだと思った。
またべつのお母さんは、こちらも中学1年生の息子なんだけど、物事をまっすぐ捉え過ぎているように見えるのか、「もう少し肩の力を抜いていいんだよ、と言ってあげたい」とつぶやいていた。肩の力を抜く。わたしは今だにたびたび言われる言葉ではあるけど、端から言われるほど簡単に抜けるものじゃない。その子は、「なんでかわからないけど、大人がムカつくんだ」とぼやいていたそうだ。わかるなあ。そのお母さんがおっしゃることもよくわかるけど、やっぱり説明できない何かと一生懸命に戦っていて、誰かを傷つけたいわけじゃないんだけど、自分を守るためにいつも戦闘体制になってしまうのかもしれない。
わかるよわかるよ、と簡単に言うことも、子どもたちにとっては腹が立つことなんだろうと思う。「訳知り顔で何さ、あなたはわたしじゃないだろう」ってよく思ってた。反抗期って言ったって、わかりやすく髪を染めたり非行に走ったり、親をなじったり、ガラスを叩き割ったり、そういうことではなくて、繰り返しになるけど、成長していくなかで芽生えてきた新しい感情たちと、一生懸命対峙して、折り合いのつけ方を学んでいくその真っ只中なんだと思う。それで大人になったときに、そういう子どもを前にして「おお、いいじゃないか、もっと悩みなさい!」って構えていられたらとてもいいなと思うし、わたしもそうでありたいな、とお母さんズの話を聞きながら感じていた。
自分はどんな子どもだったかな、って思い返すと、今と全然変わらない人間しか思い浮かばなくて我ながら笑えるんだけど、それはとても幸せに成長できたってことなんだろうなって思う。そりゃ、自分なりに色んなことを考えて、眠れない夜も、語弊がある表現になるけど突然世界が終わればいい(突然って言うのがミソで、辛いのは嫌だらじわじわと滅びゆくんじゃなくてスイッチ一つで無になることを望んでいた。笑)とか願って止まなない夜もあった。どうしても許せないことがあって友だちを裏切ることになっても担任と正面からぶつかりあったりして青春してたなあとか、なんだかわからない涙を流して、周りの大人が全員信用できないような気持ちにかぶれてみたことだってある。でも結局、幸せな環境でここまで生きてこれた。それに尽きる。
YUMECO RECORDSに出会ったのは28歳の頃で、もうすぐ35歳になる。そして、35歳の年に、親になる予定。果たしてわたしはちゃんとした人間の親になれるのか…。心配をよそに腹の子は日々すくすくと成長し、考えても追いつかないことのほうが圧倒的に多いので、考えることをすでに放棄しているんだけど、子にもわたしが今まで生きてこれたようにして周りに見守られながら、色んな波にもまれながら、のびのびと大らかに人生の旅路を歩んでほしい、なんて思ったりする。もうじきやってくる産休は、社会に出てから一度も休むことなく働き続けてきたなかで初めて立ち止まる瞬間。せまりくる戦慄の日々(言い過ぎ。笑)の前に、のんびり子を迎える準備ができたらいいなと思います。
いとうさわこ●イーストトーキョー・蔵前で働く産休間近のOLです。これだけは書いておきたい2019筆頭は、やはりELLEGARDEN / the HIATUSの細美武士さんの結婚でしょう。本当におめでとうございます。多くのファンの方が言っていた通り、独身であって疑わないように思っていましたが、結婚と聞くと友達でもないのに心の底から祝福の心が湧き上がる不思議…。ライブ会場(NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019の横浜アリーナの日)での発表とかやっぱさすがだなって思いつつ、なんせ妊婦なわたしはこの日も行けなくて、ELLEGARDENの復活後一度たりとも生で観られてないのはこれまたどーして。こうなったら還暦祝いライブとかまで余裕で続けていてください。お願いします。