僕は“ゆず”という2人の存在がなかったらここに今いない。
ギターを持って自らの言葉で曲を書いて、部屋を飛び出し人前で歌うというおよそ音楽活動の8割をゆずから教えてもらった。
“夏色”のイントロを聴いてから完全に人生が変わった。しかしそんなミュージシャンはこの世の中ごまんであろう、それがゆずの凄いところだ。
そんなゆずっこミュージシャンの中でも宇宙一を極めているのが磯貝サイモンというミュージシャンだと思う。あの岩沢さんにゆずよりもゆずを知っていると言わしめ、今やキーボーディストでありバンドマスターだ。好きを極めた人のポップセンスに、僕自身憧れないわけがない。
サイモンさんとの出会いは2015年のサマーソニックオーディションから。サイモンさんは審査員を担当されていて、数あるバンドの中からホタバンを選んでくれた。打ち上げの席で、メールで、その後もサイモンさんはアドバイスをくださったり激励してくださったりして、本当にアニキのような存在だった。
ライブを観に行かせていただくようになり、交流が深まっていく中でまずは僕らがサイモンさんのツアーのオープニングを務め、今度はサイモンさんが柏に来てくださってツーマンをやった! “ポップ”という一言でただただ繋がっていったように感じている。
ピアノプレイから、ハーモニーのつけ方から、メロディの選び方、和音の響き、あらゆるサイモンさんの技を盗もうと自然にアンテナを張ってしまう自分がそこにいた。憧れを通り越して、僕はいつか絶対に一緒に創作をするんだと図々しくも同じステージに心が在った。
バンドにメンバー脱退という大きな出来事が訪れた時も、いち早く気にかけ声をかけてくださったのがサイモンさんだった。
「これからどんなホタバンを目指していくの?」
ゆずのツアー、パシフィコ横浜の楽屋でお話をした時 もう心には決めていた。
サイモンさんに聴いてほしい曲がある。
一緒に、完成させたい曲がある。
メールをした。
『プロデュースをしていただけませんか』
ふたつ返事で応えてくださった。
『もちろん!やろう!』
それから間も無くして、サイモンさんのスタジオで、最初の2人だけの曲出しミーティング。
すごく緊張したけど、ぜったいにこの曲は届くっていう確信を持っていた。
ほんとは1曲で良かったけど、今あるデモをひとまずたくさん送って事前に聴いてもらっていた。
『エンディングノートっていう曲がすごくいいよ、これは名曲になる』
最初の一言に思わず心の中でガッツポーズしてた!
(よし!!!)
まずは2人で歌詞を高めるところから入った。サイモンさんのアイデアはあらゆる方面から、すごく運動神経抜群にズバズバ飛んでくるから最初は付いて行くのがやっとだった。
僕らはいろんなシチュエーションで歌詞を見つめなおし続ける。
スタジオを飛び出して、喫茶店、中華料理屋、メール、様々な場所で、様々な表情で。
サイモンさんは初めからずっとユーモアを求めていた。
それが今の僕にとってこの上なくしっくり来ていた。
人生は時に厳しく、時に憂鬱に巨大に迫ってくることもあるけど、
僕らポップシンガーに出来ることってどんな時でも『安心してね、大丈夫だよ』ってそばにいることだから。
それもちょっぴり面白おかしく。
一旦、2人納得のいくまで書き上げて仮のボーカルをレコーディングした。
その後、サイモンさんからこんなメールが来てこの曲の世界がさらに深みを増した。
『もうこの想いは宇宙も飛び越えちゃっていいんじゃないかな』
最初からずっと特別なケミストリーがあると確信してたけど、
この瞬間完全なるサイモンさんと僕のブレイクポイントがやってきた。
エンディングノートという曲に翼が生えて、人生のオーケストラになった瞬間だった。
今まで一度も味わったことのないような、自分自身の音楽への信頼が生まれてきた。
メンバーたちに聴かせる時も、ARIGATO MUSIC(ホタバンの所属事務所)のみなさんに聴かせる時もどこか迷いや自信の無さがあったこれまでとは大きく違う強い気持ちが在った。
それはまっすぐに伝わってくれる。音楽に乗って。
晴れて『エンディングノート』はシングル曲となった。
ただのシングルじゃない。
2年ぶりの全国リリース。
新体制となり初のリリース。
僕らの音楽人生を賭けた、1曲の誕生だ。
期間限定連載◆藤田リュウジ「5日間限定! 帰ってきたホタバンのミュージックサンシャイン!」
Day.1 ライナーノーツ公開
Day.2 命の歌を歌うこと
藤田リュウジ●千葉・柏育ちのシンガー&ソングライター / 初代かしわ音楽大使 / ホタルライトヒルズバンドVocal / 柏MUSIC SUN 代表
ホタルライトヒルズバンドHP http://hotaban.com
藤田竜史ソロHP http://edamamekumajiro.wix.com/ryujifujita
藤田竜史「夢力(ムヂカラ)」
最終回「音楽と夢」
第11回「感動と夢 ~NEWチームホタバンスタッフ馬場恭一&藤田駿編〜」
第10回「THANKYOUと夢 ~THANKYOU MUSIC編〜」
第9回・特別編「Messengerと夢 ~片寄明人編〜」
第8回「敬意と夢 ~南部一樹編〜」
第7回「絆と夢〜熱血ベーシスト&野球コーチ・小野広一編〜」
第6回「時代と夢~FOREVER YOUNG編〜」
第5回「自由と夢 ~サックス奏者&音楽スクール代表・瀬戸郁寛編〜」
第4回「感謝と夢 ~フェスティバルオーガナイザー・藤田竜史編〜」
第3回「真心と夢 〜ビデオカメラマン・鼻和俊編〜」
第2回「家族と夢 〜hair design Veranda・藤原夫妻〜編」
第1回「愛と夢〜赤色のグリッター・佐藤リョウスケ編」