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これぞ秋晴れ!ようやく気持ちの良い気温になってきました。

 
 
10月に突入、いよいよ秋の香りが色濃くなり始めた頃。体重計に乗るのが恐ろしい季節が近づいてまいりました。秋といえば、芸術に読書、音楽…そして。私は圧倒的に食欲の秋!!!!! です。「!」の多さで察して頂ければと思うのですが、兎にも角にも良く食べることで子供の頃から注目されていた私。離乳食の頃から2人前をぺろりと平らげていたらしく、その食欲は筋金入りです。季節の所為にしながら美味しいものをたらふく食べるのが例年のパターンなのですが、気付いた時には体重の増加が成長の一言で誤魔化せなくなり始め、運動大嫌い!と笑顔で全てを片付けていた私も、ついにジムに通い始めることになりました。
 
「本気で痩せよう」をテーマにパーソナルトレーナー(スカパラの谷中さんにそっくりのナイスガイでした)をお願いしたまでは良いのですが、人と話すのが不得意な私の担当をしてくださるトレーナーは、ジムには珍しいタイプの寡黙な方。誰かが居ればまだ良いのですが、ストレッチなどで2人きりになってしまうと如何とも気まずいムードに。淡々と体をほぐされながらも、お互いに探り合うような空気に耐えられなくなった私は、唯一話のネタに困らなくなりそうな、とある質問をぶつけてみることにしました。
 
「…あ、あの。音楽は、好きですか?」
 
前に口ずさんでた曲からしても、パワフルな女性ボーカルのアーティストが出てくるはず…。(以前彼が誰もいないと思ってか、上機嫌でドリカムやSuperflyの楽曲を口ずさむシーンを目撃したことがありました)
 
「あ、ええと。好きですね。AK-69とか、nobodyknows+とか…」
 
「へえー! ヒップホップ! LIVEにも行かれるんですか?」
 
「名古屋にAK-69が下積みの頃から活躍の場を広げてきたホームがあるんですよ。そこには割と通ってましたね。案外この辺、ヒップホップに強くて!」
 
…いや、まさかの展開に本気で驚きました。AK-69といえば、最近だとUVERworldとのコラボで話題になったばかり。確かに飲食店にサインが飾ってある率が高いとは思っていたのですが、まさかホームが近くにあったなんて。しかも、寡黙なイケメンだと思っていたトレーナーがあんなに瞳を輝かせて饒舌に話し出すなんて!女の子はこういう展開に弱い(と言いつつ、次の日に話すネタが欲しいという気持ちが強かったのですが)ですよね。聞いてみると言い残し、家に帰って早速調べてみることにしました。
 
どうやら私の住む街、名古屋はHIP-HOPの激戦区だったらしく、惜しまれながら既に閉店している「オゾン」という有名クラブが才能の原石のようなヒップホッパー/ラッパーの活躍の場として存在していたのだとか。そんな身近な場所にあったのに、音楽について、興味を持った順に聞き進むという猪突猛進型の付き合い方ををしていたせいで、私はHIP-HOPについて、ほとんど知りませんでした。ということで、まずはHIP-HOPとはなんぞや?という所からアタックしてみることに。
 
どうやら「ヒップホップ」という言葉自体はニューヨークのブロックパーティーを発祥とした文化を総合して表す言葉らしく、その文化の三大要素がラップ・ブレイクダンス・グラフィティーアートだったのだとか。「ヒップホップ」の中でも特に音楽に特化したものが「ヒップホップ・ミュージック」と呼ばれ、そうなるとDJやMC、所謂今のクラブのイメージにぴったり合うような単語がちらほら登場し始めます。
 
ここで少し話が変わるのですが、実は先日、機会があってパノラマパナマタウンのワンマンライブにお邪魔させて頂きました。彼らの持ち味は、なんといってもジャンルの壁を飛び越えた音楽性。そこでは、ラップも、邦楽ロックも、オーディエンスを楽しませ、感動を生み出すもの、1つの音楽の中で共存出来うるものとして存在していました。ボーカルの岩渕さんが高速で繰り出すリリックの鋭い切れ味と、カオティックに混在しているようでいて、実は統率が取れているメロディー。盤石の信頼関係の上で打ち鳴らされるそれらは、オーディエンスの快楽中枢をダイレクトに刺激し、実に鮮やかな手口で集まった人々の心を奪っていく。その衝撃は終わってからも暫く余韻が抜けなくなるほどで。
 
暴力的な言い方になってしまうかもしれませんが、自分たちの主義主張を爆音に載せて届けるロックバンドと、言葉を操ることで自らの意思を突き付けていくラッパーは、突き詰めてしまえば同じなのかもしれません。音楽を聞いて人の心が動くのは、対象がどこであれ、そこに《伝えたい》という想いを感じ取るから。慣れ親しんだジャンルではない音楽を意識して再生する場合は、違うジャンルだから、と私自身構えるようにして聞いていたところがあったのですが、歌い手に《伝えたい》という気持ちがある限り、そしてこちらが《受け取りたい》と思っている限りは、どんなジャンルであろうと、もっと言えば、どんな文化であろうと、身1つで飛び込んでみることが唯一にして絶対の楽しみ方なのかもしれない。なににも縛られず、今まさに大きく羽ばたこうとしているバンドを観た帰り道、思わずそんなことを考えさせられました。
 

 
今月のラストは、Aトレーナーに敬意を評して、AK-69の楽曲で締め括ろうかと思います。ピックアップするのは、私が1番最初に聞き、ラップやHIP-HOPに感じていた、クラブで踊るBGMとして聞く音楽、という勝手なイメージを打ち砕くきっかけになった楽曲「Stronger」。“強くなる”というフレーズを自分自信に言い聞かせ、心に刻みつけるように繰り返す今作は、亡くなったお父様に贈られた1曲。言葉を巧みに操る職人のようなアクトを繰り広げる彼は、きっと言葉の使い方や、それをどんな風に使えばどういった効果を得られるのかまで、きっと理解しているのでしょう。でも、この曲でのAK-69は、胸の内から溢れ出た言葉をそのまま口から零しているようにも思えて、その率直さと喪失の哀しさ、そして、生々しく迫る漢の決意に、胸を締め付けられると同時に奮い立たされるような気がしました。
 
最後になりましたが、私のように、変なイメージを植えつけられて、軽い偏見を持っている人、きっと居ると思うんです。そんな人こそ、どうかこの楽曲を聞いてみてください。5分という短い時間だけれど、確実に意識が変わると思うから。もちろん、少しでもアンテナに引っかかったという貴方は、是非他の楽曲にも手を伸ばしてみて下さいね!
 
 
 
 
 
 


 
watanabe渡辺真綾●1998年10月13日生まれ。名古屋在住の大学1年生。年間のLIVE総数が100本近くなるほどのミュージックフリーク。バイタリティーだけを武器にあちらこちらのライブハウスに出没しています。音楽以外にもビーチコーミング / 動物園・水族館巡りが大好き! もしオススメの貝殻が落ちてる海があれば、是非教えてください。今年は色んなことを楽しみながら頑張る一年にしていきたいと思っています。宜しくお願い致します!