■漫画『君たちはどう生きるか』原作:吉野源三郎 / 漫画:羽賀翔一 マガジンハウス
時々、立ち止まって考えたい。
私は、なぜ生きているのか?何のために生まれてきたのだろうか。
1937年に出版されて以来、数多くの人に読み継がれてきた、
吉野源三郎さんの名作「君たちはどう生きるかを漫画化した本書。
人間としてどう生きればいいのか、
いじめ、貧困、格差、教養、昔も今も変わらない人生のテーマが描かれている。
主人公は中学2年生のコペルくん。亡き父のかわりに導いてくれるおじさんに、日々の悩みや疑問ををぶつける。
この質問に子供扱いぜず、真摯に答えやアドバイスをおじさんがノートに書いて渡してくれる。
ある日、友達に対して犯してしまった裏切り。
この事件をきっかけに学校に通えなくなり深く傷ついていく。
辛い日々のなか、コぺル君を再び震え立たせてくれたものとは…。
「宇宙は地球中心に廻っていない。この世の中も決して、自分中心ではないんだ。」
と悟っていくコぺル君の姿に心が震えた。
弱い自分に向き合い、大人への一歩を踏み出していくコペルくんと
常に彼を優しく時に厳しく見守るおじさんは、
生きていくことの本質をズキズキと教えてくれる。
大人になって、失っていたもの。いや、見ようとしなくなった「心」の変化。
読む人は心がざわつくだろうけど、それが読書だ。
自分の心や人間関係を見つめ直す時間を自然と生んでくれた、この本に感謝したい。
また、38歳にもなった私は「おじさん」のような人になりたいと思った。
自分の経験や、読んできた本から知った知識など子供に伝えていかなければ。
苦しかった子供時代、助けてくれた本たちの存在も思い出した。
「ナポレオン」について書かれている章があって、
これがとても読み応えがあった。
ナポレオンは貧乏士官から10年で皇帝になる。しかし10年かけて戦い、最後は捕虜となる。
20年間のあいだのナポレオンの激しい人生は、底知れるエネルギーと行動力に満ち溢れていて、
なんでこんなことも知らなかったんだ!と自分の無知さに反省した。
また、偉人伝を読む行為のドキドキ感を思い出した。まだまだ、私だって学べる!
少し停滞してるなーと思っているあなたへ、
1時間で読める心の向きが変わる本です。
稲刈りも終わり、新米を頂きました! 自分で精米して炊くと、また格別なんです。(自分じゃなく…夫ですw)
上村祐子●1979年東京都品川区生まれ。元書店員。2016年、結婚を機に兵庫県淡路島玉ねぎ畑の真ん中に移住。「やすらぎの郷」と「バチェラー・ジャパン」に夢中。はじめまして、風光る4月より連載を担当させて頂くことになりました。文章を書くのは久々でドキドキしています。淡路島の暮らしにも慣れてきて、何か始めたいと思っていた矢先に上野三樹さんよりお話を頂いて嬉しい限りです。私が、東京で書店員としてキラキラしていた時代、三樹さんに出会いました。お会いしていたのはほぼ夜中だったwと思いますが、今では、朝ドラの感想をツイッターで語り合う仲です。結婚し、中年になりましたがキラキラした書評を青臭い感じで書いていこうと思っています。